オーナーインプレ【CRF1100L アフリカツイン】

スポンサーリンク

 フルモデルチェンジに合わせて、2020年4月に新車で購入した「CRF1100L アフリカツイン」のインプレッションです。タイプ別の装備や費用面、チョイノリから長距離走行まで実際に所有してみての感想、CB1300SBとの比較などをつらつら書いています。
先に結末から言ってしまうと、2022年の秋に交通事故に遭い手放したため、オーナー期間は約2年半、走行距離は約14,000kmでした。修理代がほぼ全損に近い金額となったため、悩んだ末、現在はCB1300SBに乗り換えていますが、アフリカツインの機能や燃費は優秀だったので、修理して乗り続けても良かったかな.. とも思えるくらい個人的には良いバイクでした。イメージ通り、長距離走行に最適なバイクです。アドベンチャーというジャンルの中では人気車種なのか、東京近郊では同じ車種(但しほとんどがアドベンチャースポーツ)を見ることがありますが、地方ではほぼ見かけたことがありません。

1. 仕様・価格など

タイプ・グレード名:CRF1100L Africa Twin s
購入時期:2020年4月 納車
車両本体価格:1,580,000円(税込) ※メーカー希望小売価格(当時)からの値引き額:37,000円
+ 納車時諸費用:60,000円(税込)
オプション(内容は以下、金額は税込):200,000円

車両+諸費用+全てのオプションパーツを加えた金額:1,830,000円

 ・装着した純正オプションパーツ
リアキャリア&キャリアブラケットキット:33,000円
アラーム+アラーム取付アタッチメント:23,000円
タンクバッグ 4.5L:12,000円 ※中古で購入
パニアケース(左右セット);ワン・キー・システムタイプ:110,000円 ※中古で購入
 ・社外パーツ
DRC製サイドスタンドエクステンダー:6,000円
DRC製フェンダーレスキット:8,000円
タナックス製左右ミラー:5,000円
デイトナ製スマートフォンホルダー:3,000円

グレード(タイプ)について

 私が納車したモデルは、一番下のグレード「スタンダード」(マニュアル6速)<s>モデル。
ちなみに、<s>とは期間限定の受注生産モデルで、2020年4月と2022年4月に各200台限定で生産され、シート高が870mm(ノーマル830mm)になっているほか、最低地上高が250mm(ノーマル210mm)など、オフロード走行に特化したモデルとなっています。
しかしながら、私の技量ではオフロード性能の差など当然実感できる訳はないので、単純に期間限定モデルであるという理由で<s>を選択しました。

 2022年現在、アフリカツインのグレードは以下の設定があります。
CRF1100L Africa Twin:1,639,000円
CRF1100L Africa Twin(DCT):1,749,000円
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES:1,947,000円
CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES(DCT):2,057,000円

 スタンダードまたはアドベンチャースポーツの2タイプに、それぞれMTかDCTかを選ぶ仕様になっており、いずれのグレードも、DCTモデルの場合はMTと比べて10万円ほど高価で、車両重量も10kgほど重たくなっています。
最高級のアドベンチャースポーツ(DCT)モデルに純正オプションをフルで付けると250万円ほどのため、納車費用を含めたアフリカツインの新車価格帯は「170万円~250万円」。1000cc超クラスのアドベンチャーバイクの中では安価な部類で、個人的にはコストパフォーマンスの良いバイクと思います。

 グレード(タイプ)による装備の違いについては、ホンダホームページ記載の通りですが、ざっくりまとめると以下の通りです。
2020年モデルのスタンダードではリアキャリアはオプションでしたが、2022年モデルからは両タイプ共通装備となりました。また、2024年モデルからは色々と細かな変更があり、フロント19インチ、リア17インチになるそうです。

【装備品(スタンダード:アドベンチャースポーツ】
<燃料タンク> 18L : 24L
<フロントスクリーン> 固定式ショートスクリーン : 5段階調整式ロングスクリーン
<ヘッドライト> 通常ライト : 自動切り替え式コーナリングライト
<タイヤ> チューブタイヤ : チューブレスタイヤ

2. 取り回し

スタンダードモデルの車両重量は226kg(2020年式)となっており、この排気量のバイクにしては軽量なことが大きなメリットです。
パニアケースとリアキャリアを装着すると+10kg強の重量増となり、上記のオプションパーツを全て装着した私のアフリカツインの車両重量は約240kgでした。
マフラーを変えたり、装備品を最低減まで取り外せば、装備重量220kg程度までそぎ落とせそうです。

とは言え、巨大な車体と高い重心が相まって、狭い駐輪場や傾斜地ではそれなりに気を使う必要があります。私が現在所有している「ホンダ CB1300スーパーボルドール」は車両重量が272kgありますが、押し歩きした体感では、大きな重さの違いは感じられませんでした。平坦地ではむしろCB1300の方が軽く感じたくらいです。
また、積載した荷物が多いと体感的な車重が結構変わってきます。下の画像のようなキャンプ場では、取り回しに要注意です。

その他、アフリカツインならではの長所としては、オプションではありますが、純正パニアケースが良い形状をしています。
左側にオフロードヘルメット1個が収納可能でありながら、車体に食い込むような形状のため、装着幅もハンドル幅を超えないサイズで、見た目と実用性を兼ね備えていて扱いやすいです。適当なカバンと温泉セットをポイっとパニアケースに放りこんでしまえば、煩わしいパッキングの手間なく快適なツーリングが約束されます。
タンクバックもアフリカツイン専用品があるため、スマートな見た目で簡単に安定した取り付けができるます。容量が4.5Lと少ないのと、定価で約2万円と高価なのがデメリットです。

パニアケースを外した状態だとリアビューが貧弱なうえ荷物もほとんど収納できないので、アフリカツインで旅するならパニアケースはオススメなオプションです。

3. 走行モード

アフリカツインは高級な部類のバイクだけあって、他のバイクではあまり無いような先進的な機能が装備されています。

メーター周りは、最近のバイクでは一般的になりつつある液晶モニタータイプ。アフリカツインの場合は少し変わっていて、スピードメーターが2つ付いているようなインパネになっています。
ハンドル左側のスイッチで、アーバン/ツアー/グラベル/オフロードの4つライディングモードをライダー自身で切り替えることができます。上部のモニターで現在設定されているライディングモードを確認できるほか、走行距離、平均燃費、燃料消費量などの表示を切り替えることができるので、バイク旅行の記録に役立ちますが、平均燃費などは実燃費よりやや悪く表示されているような気がします。
上部のモニターの上の部分には電子機器の接続状況、現在時刻、外気温が表示されていて、これらの表示はどのライディングモードでも変わらない仕様となっています。下部のモニターにはスピードメーター、オドメーター、シフトインジゲーターのほか、各種警告灯が備わっています。

4つのモードを自在に使いこなす技量は私には無いのですが、ツアーモードがフルパワー状態で、グラベルモードにするとパワーが落とされるので、狭い山道などではグラベルモード、高速道路などではツアーモードで走行すると快適です。グラベルとツアーは加速が明らかに違うのでモードの特性が良く分かります。

また、このモニターと「Apple Car play / Android Auto」でbluetooth接続することで、スマートフォンのナビ、音楽などをモニターに表示させることができます。
私も「Android Auto」で接続してみましたが、USBで有線接続する必要があり、スマホをホルダーまたはタンクバッグの中に入れておかないといけないことと、接続が悪い(繋がらない)ことも多かったため、結局は普通にスマホナビを使用することが多かったです。また、タコメーターは上のモニターにしか表示できないため、常時タコメーターを表示させたい場合も扱いにくいかもしれません。(スマホとの相性の問題? 私はソニーのアンドロイドスマホでした…)

4.主な装備

・ETC

ETCは全モデルで「ETC2.0」が標準装備となっています。リアシート下に車載機がありますが、このリアシートが外しにくく、慣れるまでは結構苦戦しました。

ちなみに、「ETC2.0」だと指定された一部の高速道路ICで一時退出ができて、道の駅に立ち寄ったり、一般道のガソリンスタンドで給油を行うことができるほか、圏央道が通常料金より2割引で利用できるなど、都市部に住んでいて高速道路を利用した長距離走行を行うようなライダーであればそのメリットを享受できますが、地方在住のライダーにはあまり恩恵を受ける機会はなく、当面大きなメリットは無いでしょう。

・ミラー

ホンダ純正のミラーは125ccクラスと同じような質感で好きでは無かったので、私は早々に社外品(タナックス製 クロス3)に交換しました。

・クルーズコントロール

バイクではまだ珍しい装備である「クルーズコントロール」が全モデルに装備されています。セットボタンはハンドル右側(アクセル側)にあり、時速50km/h以上での走行中及びマニュアル車の場合は4速以上になっている状態でのみセットすることが可能です。
セット後は、ボタンを押したタイミングで速度が固定されるため、60km/hでの走行時にクルーズコントロールボタンを押した場合は60km/h、120km/hでボタンを押すと120km/hで、解除されるまで一定の速度で走り続けます。解除方法はブレーキをかけるか、もう一度クルーズコントロールボタンを押すことで解除される仕組みです。

前車追従機能などは無いシンプルなクルーズコントロールですので、使用する機会は少ないかもしれませんが、少しの間でもアクセルを捻る右手を休ませることができるので、タイミングを見計らって時々使用することで、長距離走行の快適性を十分に向上させてくれる機能であることは間違いないでしょう。

ちなみに、アップダウンの激しい山間部の一般道で使ってみたところ、登り坂ではほとんど失速することなくクルーズコントロールが効いていたものの、下り坂になると大きく加速してしまい、長い直線であってもあまり使い物にはならない印象でした。交通量の少ない郊外の高速道路でのみ使用を想定したほうが良さそうです。

・燃費

カタログ上は現行の1000cc超バイクの中では一番燃費が良いバイクです。実際に20km/Lを下回ることはほとんど無く、全てのモデルでレギュラーガソリン仕様のため、ガソリン代も節約できます。
平均燃費:23km/L
最高燃費:30km/L、最低燃費:15km/L
燃費の最高記録は高速道路を延々と90~100km/hで走行時、最低記録は市街地チョイノリのみです。メーターに表示される平均燃費は少し悪めに出るため、いずれもガソリンスタンドでの給油時に満タン法にて計測した数値です。

5. 市街地での移動

アフリカツインは大きなバイクですが、普通に街中を走る分には特に不満はありませんでした。排気音はノーマルでもそれなりに大きいので、住宅街での始動には気を使う部分もありますが、これは他の大型バイクでも同様でしょう。問題は駐輪場です。

純正のパニアケースはスマートではあるものの、それでもハンドル幅・車体幅ともに約1mあります。都会の有料駐輪場などでは、出入り口のゲートが狭くて、片側のサイドケースを外したりしないと入れないか、入るのを諦めざる負えないような場所も多いです。
下の画像のような125cc以下と混在している駐輪場だと、確実に枠からハミ出ます。

アフリカツイン所有当時、東京23区内や横浜周辺などへアフリカツインで行く機会が多かったのですが、この駐輪場問題に悩まされました。
排気量制限の無い駐輪場でも狭い所は結構あるので、googleストリートビューなどで事前の下調べが大事になってきます。大型バイクであっても、400ccクラスとそれほど大きさが変わらない車種も多いので、都会での移動を主として大型バイクを使うのであれば、アフリカツインに限らず、アドベンチャーバイクは選択肢から外した方が無難かもしれません。

上の写真は羽田空港のバイク駐輪場です。このように駐車枠が無く、スペース的にも余裕のある駐輪場であれば、特大サイズのバイクでも気兼ねなく停めておけるのですが…

6. 旅へ

アフリカツインを選択する一番の理由は、やはり快適に長距離ツーリングを楽しむことでしょう。2022年モデルまでのアフリカツインであれば、フロント21インチ、リア18インチのオフロード走行にも適したサイズですので、腕のある人ならブロックタイヤに交換して旅先でオフロード走行を愉しむことにも向いているバイクと思います。アドベンチャーバイクならではの楽な姿勢、目線の高さも良いですね。

ここからの写真は私がアフリカツインで行った一番遠い場所である山口県・福岡県を旅行した際の写真です。やっぱり旅先での風景が一番似合うバイクです。

スタンダードモデルの場合、フロントスクリーンが少々小さいため、高速道路を走ってみて風圧がキツイと感じる場合は、ロングスクリーンに交換したほうが快適かもしれません。

エンジン回転数は6速に入れて60km/h走行時で約2,000rpm、90km/h走行時で約3,000rpm、120km/h走行時で約4,000rpmです。この排気量のバイクでは当然かもしれませんが、高速道路では全くパワー不足を感じることはありません。
市街地ではデメリットだった大きな車格のおかげで強風にも強く、100km/hを超える速度域でも快適に走行できます。一般道においては、直線が続く郊外の田舎道では6速に入れることもありましたが、ほぼ1~5速で走っていました。

2気筒エンジンですが、低速トルクが薄いのか、慣れないうちはたまにエンストしました。
低速走行時(20km/h以下)は1速に入れたほうが走りやすいです。0km/hからの発進のしやすさ、加速力はCB1300の方が上回っています。また、CB1300SBだと10~15km/h程度でも2速のままで走れたので、市街地ではCB1300SBの方が快適に走れます。狭い山道ではCB1300の重量が響いて手の負担が大きく感じたため、アフリカツインの方が快適に感じました。

一日中走っていると、やはりバイク特有のお尻の痛みが発生してきます。長距離移動時も1時間半~2時間ごとに休憩したほうが後々の負担が少なくて快適です。それでも、私が所有・レンタルしたことのある他のバイクと比べたら納車姿勢が楽で、圧倒的な快適性でした。

7. メンテナンス性

私のオーナー期間約2年半、15,000km走行した程度では、もちろん故障・不具合の発生はありませんでしたが、新しいバイクで電子装備が色々搭載されているため、不具合が発生した際、自力での修理は難しいかもしれません。
既にモニターの不具合でリコールも出ています。オフロード系の大型バイクの中で、ヤマハの「テネレ700」は690ccのミドルクラスではありますが、電子装備はABSのみのため、アナログが好きであればテネレの方が良さそうです。

車高が高いため、オイル交換などの作業は行いやすいです。一時期、エンジンガード類の装着を考えたことがありましたが、フロントカウルなどのネジ類がとにかく硬くて外れませんでした。個体差があるのかもしれませんが、ガード類の装着を考えている場合は、本格的な整備工具を整えるか、バイク店に任せてしまった方が良いでしょう。
あと、電子装備の影響でハンドル周りにたくさんのスイッチ類が付いています。細かな操作・設定の変更方法」などは複雑なため、使いこなせるまでに半年くらいかかりました… レンタルバイクで1~2日借りた程度では、とても覚えきれないです。

最後に、長所・短所をあえて各3つ挙げてみました。ここに書いたことの中で、車体のデカさなど購入前から予想できていたことも多いので、個人的にはデメリットとは思っていません。
素人目線の適当なインプレですが、アフリカツイン検討の際に少しでもお役に立てれば幸いです。

・長所(メリット)

同クラスのバイクと比較して重量が軽い
フルサイズのオフロードバイクと同じ車格であること(但し、2023年モデルまで)
純正オプションのパニアケースが使いやすい

・短所(デメリット)

リアシートが開閉しにくく、ETCの脱着に不便
車体モニターとの通信が上手く繋がらないことが多い
各部のネジ・ボルト類が硬くてカスタム時に不便

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする