2022年秋・鹿児島県 屋久島旅行(その1・屋久島への渡島方法)

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2022年9月26日~29日にかけて、2泊4日の旅程で鹿児島県の離島である「屋久島」へ旅行して来た記録です。今回は自分の所有するバイクを持ち込んでの旅行だったため、フェリーを利用して屋久島へ渡島しました。
この記事を書いた2023年6月時点では、屋久島への渡島手段は「1.船(フェリー)」、「2.高速船」、3.「飛行機」の3種類がありますが、車・バイク・自転車などの車両を持ち込む場合は、必然的にフェリーを利用することになります。ここでは屋久島へ就航しているフェリーについてを、私の体験談を交えて紹介していきます。

ちなみに、鹿児島~屋久島までの片道運賃ですが、フェリーが3,900円~5,600円、高速船が12,200円、飛行機の場合は正規運賃が約20,000円ですが、割引を駆使できれば高速船と同額に近い値段で移動できます。

1.屋久島行きの船(フェリー)について

船(フェリー)は最も安価に屋久島へ移動できますが、高速船が鹿児島港⇒屋久島(宮之浦港)へ約2時間、飛行機が鹿児島空港⇒屋久島空港まで約1時間で移動できるのに対して、最短でも片道約4時間かかります。
車両を持ち込まない場合は、鹿児島港までの移動交通費や前泊・後泊する場合の宿泊費を考えると、居住している地域によっては飛行機 or 高速船を利用した方が安価で効率的かもしれません。高速船は「トッピー&ロケット」、飛行機はJALグループの「JAC(日本エアーコミューター)」が運航しています。旅程や予算に合わせて比較検討してみましょう。
各港の位置関係はざっくり以下の地図のような感じです。

フェリーは鹿児島県鹿児島市の鹿児島港(南ふ頭)から「フェリー屋久島2」が、谷山港から「フェリーはいびすかす」が運航しており、いわゆる九州本土からフェリーでアクセスする場合、このどちらかに乗船することになります。この他には他の離島から屋久島へ就航しているフェリーが2種類ありますので、上手く使えば、種子島など他の離島も同時に旅行できます。以下、屋久島の港へ運航している4社のフェリーを紹介していきます。

1.フェリー屋久島2(折田汽船株式会社)

屋久島へ就航するフェリーの中で最も大きくて利用者も多いフェリーです。

午前8時30分に鹿児島港(南ふ頭)を出発し、12時30分に屋久島(宮之浦港)へ到着します。出発が朝早いため、南九州に在住の方以外は基本的に前泊が必要です。屋久島からは宮之浦港を13時30分に出発し、17時40分に鹿児島港(南ふ頭)へ到着する運行スケジュールとなっています。

運航区間:鹿児島港(南ふ頭)~宮之浦港
運航本数:1日1往復
所要時間(鹿児島⇒屋久島):4時間
所要時間(屋久島⇒鹿児島):4時間10分
旅客2等運賃:5,600円 ※往復の場合、復路は5,100円
車両の航送:〇
車両航送料金(運転手1名分の二等運賃を含む) ※往復の場合、復路は1~2割引
自動車(全長4m未満):20,000円
自動車(全長5m未満):24,500円
バイク(125cc未満):7,400円
バイク(125cc超~750cc未満):8,300円
バイク(750cc超):9,300円
自転車:6,500円

私は復路でこの船を利用しました。新しくは無いものの、船内は広々としていて漫画コーナーや浴室などもあり、中々豪華な船でした。
以下の写真が船内の様子です。豪華な客室に対して、車両甲板は雑然としていて貨物と同じ区画に積み込まれます。

鹿児島港(南ふ頭)の最寄り駅は路面電車の「いづろ通」駅から徒歩15分(約1km)ですが、JR鹿児島中央駅からの路線バスも多く出ており、公共交通機関でのアクセスも問題ないです。鹿児島⇒屋久島を車両航送で利用する場合は朝の通勤ラッシュと重なるため、遅くとも午前7時頃には鹿児島(南ふ頭)へ到着できるようなスケジュールで向かった方が無難です。

旅客のみで乗船する場合は予約不要で、当日朝に乗船券を購入で問題ありません。車・バイク・自転車を屋久島へ持ち込む場合のみ、電話での事前予約が必要です。
自転車・バイクの場合は、午前7時までに鹿児島港で手続きを済ませる必要があるため、前日までの予約が無難です。屋久島⇒鹿児島の場合は午後出発のため、空きがあれば当日予約でも問題ない様子ですが、予定が分かった時点で予約するようにしたいところです。私は前日に電話で予約しました。

鹿児島~屋久島航路は晴れていれば開聞岳や薩摩硫黄島、佐多岬などが見えます。

2.フェリーはいびすかす(鹿商海運株式会社)

この、ベ〇ツのようなマークを船体にでかでかと掲げた船が「フェリーはいびすかす」です。主に鹿児島県内で運輸業、観光業などを展開しているいわさきグループが運行する船で、運賃は九州本土から屋久島へ就航している路線の中では最安の片道3,900円です。

運航区間:鹿児島(谷山港)~宮之浦港
運航本数:週6往復(月曜~土曜運航・日曜運休)
所要時間(鹿児島⇔種子島):3時間40分
所要時間(種子島⇔屋久島):2時間
所要時間(鹿児島⇒屋久島):13時間(夜行)
所要時間(屋久島⇒鹿児島):6時間30分
旅客2等運賃:3,900円
車両の航送:〇
車両航送料金(運転手1名分の二等運賃を含む) ※往復の場合、復路は約1割引
自動車(全長4m未満):17,900円
自動車(全長5m未満):23,400円
バイク(50cc未満):6,000円
バイク(50cc超~125cc未満):6,050円
バイク(125cc超~750cc未満):6,950円
バイク(750cc超):7,900円
自転車:5,100円

鹿児島⇒屋久島便は夕方18時に鹿児島港(谷山港)を出航し、21時40分に種子島(西之表港)に到着。翌朝5時に種子島(西之表港)を再び出航し、午前7時に屋久島(宮之浦港)へ到着するといった特殊な運行スケジュールです。屋久島行きで乗船した場合は、種子島で船外に降りる必要は無く、そのまま種子島に停泊したままの船内で一夜を明かすことになります。
屋久島⇒鹿児島便は午前8時10分に屋久島(宮之浦港)を出航し、10時10分に種子島(西之表港)に到着。屋久島行きの時とは異なり、種子島には50分だけ停泊して、11時に種子島(西之表港)を出航。14時40分に鹿児島(谷山港)に到着します。なお、毎週日曜日は運休のため注意が必要です。

安さには色々と訳もあり、貨物船におまけで旅客を乗せているような船ですので、快適性は先ほど紹介した「フェリー屋久島2」よりも劣ります。私は往路(鹿児島⇒屋久島)でこの船を利用しましたので、私なりにあえてこの船を利用するメリット・デメリットを考えてみました。
 【メリット】
・旅客運賃、車両航送運賃ともに他のフェリーよりも安価
・鹿児島⇒屋久島便は夜行となるため、翌朝は早朝から旅行を開始することが可能
・鹿児島⇒屋久島便は夜行フェリーではあるものの、21時40分の種子島到着後~翌朝5時の出航までは種子島に停泊しているため、揺れもなく割と静かに寝ることができる。
 【デメリット】
・もれなく大広間に雑魚寝となる。部屋の隅に貸し出し用の毛布が山積みになっているので、早い者勝ちでゲットしたい。
・船内にはカップ麺と飲料の自動販売機のみしかない。
・船内にシャワー室・浴場は無し。事前に風呂を済ませておく必要がある。
・種子島を経由するため、「フェリー屋久島2」よりも所要時間は長い。

【船内の様子】

船の大きさは「フェリー屋久島2」より少し小さい程度でしたが、貨物メインの船なので、客室の大広間はそれほど広くなく、お客さんが多い時は結構しんどいかもしれません。私が乗船した9月の平日では乗客は約10名で、ほとんどが種子島で降りて行き、雑魚寝の時は私を含めて3名だった記憶です。しかしながら、意外にも翌朝に種子島から乗ってくる人も同じくらいいました。

【料金を安くする裏技】

この船に限っては、「いわさきICカード」という鹿児島県内の一部の交通機関で使用することができるICカードを購入することで、更に料金を安くする裏技があります。(東日本で言うところの「Suica」みたいなもの)
このカード、新規購入時とチャージ時にその金額に応じて10%~15%のプレミアが付くため、利用状況によっては結構安くなるかもしれません。
「いわさきICカード」を購入して、「フェリーはいびすかす」の運賃を「いわさきICカード」で支払うことで、船賃が実質10%~15%割引になる仕組みです。
【利用例】
①10,000円のいわさきICカードを購入して、+1,000円を積み増し(チャージ)
⇒支払い金額は11,000円だが、1,100円分(10%)のプレミアが付き利用可能金額は12,100円となる。
⇒旅客1名+バイク(110cc)の運賃:6,050円×2(往復)が購入可能。残額0円で使い切れる。

いわさきICカードのメリット
・公共交通機関の運賃がもれなく1割引になることは全国的に見ても割引率が高くてお得
・チャージ可能な最高額(50,000円)をチャージした場合、プレミア額は7,500円(15%)になる。
・路線バス利用時、降車時間が11:00~15:00だった場合は更に時間帯割引が自動適用される。

いわさきICカードのデメリット
・基本的に鹿児島交通などのいわさきグループが運航しているバスとフェリー + 鹿児島市交通局(路面電車)でしか利用できない
・販売/解約できる場所が鹿児島交通の営業所のみとなっており、入手が難しく手間がかかる。
・購入時にデポジット500円が別途必要。(カード解約時に返金される)
・カード解約時に残額があった場合は「残額(プレミア含む)」×「0.8」-「手数料520円」が返金額となる。
(例) 残額が2,500円だった場合、2,500×0.8-520=「1,480円」が返金額のため、見かけ上は1,020円分損をしたことになりますが、ICカードの購入金額が11,000円以上であれば、1,100円分以上のプレミアが付いているため、元は取れている計算です。

有効期限は10年間となっていますので、鹿児島に数年に1回は旅行などで訪れると言うのであれば、解約せずにそのまま持っていても良いかもしれません。但し、紛失や再び鹿児島に来た時に忘れてしまっては意味がないので注意です。

・フェリー太陽Ⅱ(屋久島町営)

次に紹介する「フェリー太陽Ⅱ」ですが、この船は離島間のみを運航するフェリーのため、いわゆる九州本土との行き来はできません。種子島と屋久島(宮之浦港)、口永良部島(本村港)の間を1日1往復の運航となっています。また、口永良部島へ行くことのできる唯一の公共交通機関でもあります。

屋久島の発着港は他の船と同じ「宮之浦港」ですが、種子島の発着港は「島間港」となり、「フェリーハイビスカス」や高速船は発着する西之表港では無いので注意が必要です。この「島間港」へのアクセスがコミュニティバスが1日数本のみ(土日祝日は運休)のため、公共交通機関での非常に難しいのが難点です。

運航区間:種子島(島間港)~宮之浦港~口永良部島
運航本数:1日各1往復
所要時間(種子島⇔屋久島):1時間5分
所要時間(屋久島⇔口永良部島):1時間40分
旅客2等運賃(種子島⇔屋久島):1,460円

旅客2等運賃(屋久島⇔口永良部島):2,140円
車両の航送:〇
種子島⇔屋久島
車両航送料金(運転手1名分の二等運賃を含む) ※往復の場合、復路は約1割引
自動車(全長4m未満):6,660円
自動車(全長5m未満):7,980円
バイク(125cc未満):2,230円
バイク(125cc超~750cc未満):2,460円
バイク(750cc超):2,790円
自転車:1,800円

屋久島町のホームページに時刻表と運賃等が記載されていますが、人や車両運賃のほかに「家畜運賃」が記載されているのにビックリです。ちなみに種子島~屋久島の場合、牛が1,460円、豚が730円、牛と人が同じ運賃なのも面白いですね。

私はこの船に乗船はしませんでしたが、屋久島からの行き帰りに宮之浦港に停泊しているところを見ました。これまで運航していた「フェリー太陽」から2021年に「フェリー太陽Ⅱ」が新造されて新しくなったようです。離島間の町営船なので小さな船なのかと思いきや、デッキを含めると3階まであり、意外にもそこそこ大きくてキレイな船でした。

上の写真は宮之浦港の様子です。更なる秘境、口永良部島へ行ったり、種子島と屋久島間を安価に移動できるため、日程に余裕がある旅行ならこの船を利用して種子島・屋久島・口永良部島をセットで観光するのも楽しそうですね。

フェリーあけぼの / 波之上(マルエーフェリー株式会社)

最後に紹介する船は、鹿児島と那覇の間を運航している「フェリーあけぼの」「フェリー波之上」になります。この船、普段は屋久島へ寄港することは無いのですが、2023年現在、運航日の3日前までに予約をすることで、屋久島(宮之浦港)へ寄港し、下船することができます。

以下の写真は私が2015年に「フェリーあけぼの」に乗船した時のものです。この時は屋久島へ行った訳では無く、バイクと共に鹿児島港から奄美大島経由で沖縄本島に上陸しました。

運航会社(マルエーフェリー株式会社)のホームページを見ると「試験運航」とのことですので、2024年以降も運航するかは未定です。また、屋久島からの乗船はできません。
3連休の初日(冬季を除く)など、運航日は非常に限られていますが、この船を利用することで、普段は直行する交通機関が無い奄美大島、屋久島の両方を短い旅程でも旅行することができます。

運航区間:沖縄(那覇)⇒沖縄(本部)⇒与論島⇒沖永良部島⇒徳之島⇒奄美大島⇒屋久島(宮之浦港)
運航本数:特定日のみ運行(2023年度は15航海を予定)
所要時間(奄美大島⇒屋久島):7時間20分
所要時間(沖縄(那覇)⇒屋久島):21時間40分
旅客2等運賃:奄美大島(名瀬港)⇒宮之浦港:8,200円
車両の航送:× ※自転車は輪行袋にて持込可能。

この船の難点としては、事前に予約が必要なことと、時間がかかることです。沖縄からも乗船できますが、那覇から屋久島に向かう場合は丸1日かかってしまいますので、与論島から奄美大島までの島から乗船するのが現実的でしょう。

以上、鹿児島県の離島、屋久島までのフェリーの紹介でした。次の記事では、屋久島の旅行記を書いています。バイクで屋久島を一周したり、縄文杉を見に行ったりしましたので、宜しければご覧ください。
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