【バイク日本一周旅】東日本編(8~11日目:北海道一周その2)

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・2014年8月20日(水) – 8日目

早朝に一度目を覚ますも、外を打ちつける雨の音を聞いて再び爆睡。
結局、昨晩は早く寝たにも関わらずこの日の起床は8時前。半日近く寝た。

シャワーを浴びてゆっくりと出発準備をしていると、ありがたい事に雨は止み、カッパを着ずに出発できそうだ。

午前10時半に昨晩の宿「バイクステーション釧路」を出発。今日も安定の曇り空の下、雨上がりの水溜りを避けながら、東にバイクを走らせた。

釧路から根室方面へ向かう。この区間の大半は道道123/142号、通称「北太平洋シーサイドライン」を走行した。
この道は海岸線沿いとアップダウンのある丘を繰り返す風光明媚な道路で、交通量ももちろん極小、曇天ながらもバイクの運転を存分に楽しむことができた。

そんな快適な道路を走ると時間はあっという間で、昼頃には釧路と根室の中間に位置する厚岸(あっけし)に到着。
JR根室本線の厚岸駅前にある「浜のれん」で、奮発して名物のかき丼を頂く。熱々のかき丼は食が進み、かき何個でも食べれそうな勢いですぐに完食だった。

引き続き北太平洋シーサイドラインを走行して、あやめヶ原という場所に立ち寄った。その場所には広い駐車場があったが、人は誰もいない。静かな森の中、時折響く風の音を聞きながら、展望台を目指して一人海の方向へ歩いた。

その展望台へと続く遊歩道は緩やかな上り坂で、 丘の上を歩いているようだが、先の方向が霞がかっていてよく見えない。しかし、少し進むと陽がさしてきて、空が明るくなった。
明るくなった空が海の方向に残った霧と合わさり、その光景はまるで天へと続くようで、非常に幻想的だ。それを目に焼き付けながら展望台までの道をゆっくりと歩き、展望台の上に立った。

展望台の上では、自転車くらいの速さで流れる霧の動きを眺める。霧の動きによって1分ごとに見える風景が変わり、一時は完全に霧が無くなったと思うと、また霧につつまれて辺り一面が真っ白になる。そんな繰り返しであった。
このロケーションと天候が合わさって生み出された幻想的な風景は、何だか神聖な感じで、まるで天国へと誘われたかのような場所に感じた。

この旅は先を急ぐ旅でもあるので、ほどほどの時間で展望台を後にした。何も無いと思っていた場所だったが、駐車場までの帰り道の途中で獣の匂いを感じた。
進んでみると、展望台に行くときには何もいなかった場所で、もの凄い数の馬群に遭遇した。数百キロは有りそうな巨体の馬からかわいい子馬まで、バリエーション豊かな馬群だった。
野生化したのか飼われているのかは分からないが、馬にこれだけ近づけるのは中々無い機会なので、しばし観察していたが、その迫力ある荒い息遣いに加えて目の前が放尿も始まったため、ビビってその場から退散したのであった…

最東端の地を目指してさらに東へ走り、「琵琶瀬展望台」に立つ。ここから拝むことのできる霧多布湿原(きりたっぷしつげん)は約30k㎡の面積を誇り、国内で5番目の大きさの湿原らしい。この頃には天気もすっかり晴れて、 広大な霧多布湿原を眼下に納めることができた。

霧多布湿原のど真ん中にある霧多布湿原センターにも立ち寄って、ここの展望台から、また違った湿原の景色を見た。

湿原センターに行くために通った道は通称「MGロード」という、 霧多布湿原の中を縦断するアスファルトの道の下に幾つのもパイプを設置して、 湿原内の水の流れがせき止められないよう、自然を守る工夫をしている道路らしい。まあ、実際にここを走行しても、 水路のパイプは地中に埋まっているので普通の道路にしか見えないが、湿原のど真ん中をバイクで走れるのは爽快だ。

浜中町霧多布地区の小さな市街地を抜けて、霧多布岬に移動した。
正式には湯沸岬(とうふつみさき)というらしく、 展望台からは、 湯沸岬灯台と霧多布半島の断崖、そして太平洋の大海原を臨む。

霧多布岬の駐車場からバイクを走らせること15秒、半島の高台にある「霧多布岬キャンプ場」を今晩の宿泊地とした。このキャンプ場はありがたいことに無料で、管理人のおっちゃんに受付を済ませ、私はバイクの裏にテントを張った。たくさんの大型バイクで賑わっているが、敷地が広いため広々と快適に過ごせそうだ。

夕方、風呂と買い出しに行くべく、少しばかりバイクを走らせた。
その途中、アゼチの岬という場所に立ち寄り、冷たい風を受けながら、海に浮かぶたくたんの島々を眺めた。

日没時刻を過ぎ、一気に薄暗くなってきたので退散。
近くにある「霧多布温泉ゆうゆ」でひとっ風呂浴び、セイ○ーマートで買い足しをしてキャンプ場に戻った後は、また簡素な飯を自炊して食べ、今日も早い時間に寝た。

【8日目移動距離・出費】
釧路→厚岸→霧多布岬:145km
出費:2,351円
(ガソリン:1,055、食費:1,296)

・2014年8月21日(木) – 9日目

午前7時30分にキャンプ場を出発。
出発して直ぐに馬に遭遇したので1枚の記念写真を撮影し、最東端の地である「納沙布岬」を目指すべく、 今日も東の方向へバイクを走らせた。

JR根室本線(花咲線)の浜中駅にて。人はいないがルパンで埋め尽くされていた。

そして、北海道で最も東に位置する根室市に入る。根室市の南部に位置する花咲港を経由して、市街地へ向かう。どんよりとした曇り空と市街地での人の少なさも相まって、最果て感を強く感じた。
「日本最東端の駅」である東根室駅に立ち寄った後、喫茶店「どりあん」にて根室名物の一つといわれる「エスカロップ」を昼食にした。

この日食した「エスカロップ」とは、ご飯の上にトンカツを乗せ、ドミグラスソースをかけたもので、根室でしか頂けない料理であった。カツ丼とはまた違った新鮮な味だ。

こうして腹も満たしたお昼時、根室半島を半時計周りで走り、午前11時40分、私は本土再東端である「納沙布岬」の地を踏んだ。
天気は相変わらずの曇天であったが、北方領土の島々を間近に見ることができた。いつかあの島に行ける日が来たならば、オフロードバイクで未開の地を駆け抜けたい。そんなことを思いながら周辺を歩き、最果ての風景を心に刻んだ。

岬のそばにあった根室市観光物産センターにも入ってみた。中は小さな博物館みたいになっていて、アザラシの模型とかを見物した。

納沙布岬周辺には1時間程滞在し、この辺りでは圧倒的な高さを誇り、存在感を放っていた「オーロラタワー」を横目に、最東端の地を後にした。

納沙布岬 から10分弱走ったところで、広い駐車場があったのでバイクを停めた。「北方原生花園」という景勝地のようで、遊歩道があったので進んでみようと思ったが、馬群が進路を完全にブロックしていて、立ち入るのを諦めた。

再び根室の市街地を通過し、 西に向かって国道44号を走った。
道の駅「スワン44ねむろ」から風連湖を望む。曇りだったこの日で唯一、僅かに晴れ間が出て暖かみを感じた。

JR根室本線の終着駅、根室駅前にて

この先で進路を北の方向へと変えて、ひたすら曇り空と牧草地の風景の中を走った。どの道を走ったのか今では覚えていないが、広いアスファルトから道幅が狭くなり、やがて未舗装になったりもしたけれど、その道はずっと北の方向へと続いていた。

未舗装の道はやがて綺麗なアスファルトへと戻り、快調にスピードを上げていると、道端に鉄骨むき出しの簡素な展望台が登場した。その展望台はけっこうな高さがあり、高所に若干ビビりながらも一番上まで登った。

ここは北海道野付郡別海町、人口の8倍の数の牛がいるとの看板通り、この町の風景はどこまでも草原と牧草地が続いている。
僕らが普段飲んでいる牛乳も、その多くがこの地で作られ、全国に運ばれていると思うと、日本に北海道があって良かった。そして牛乳を買って一気飲みしたい。そう思いながら、牛乳の大地を駆け抜け、バイク乗りの間では定番スポット?といえる「開陽台」を目指した。

開陽台の展望台に上がると、曇天ではあったが、ここでも360度の広大な台地を見渡すことができた。 牛さんもいっぱい見えた。
バイクに戻ると、大きなカメラを持ったおっちゃんに話しかけられた。どうやらバイク雑誌の編集者をやっているらしく、毎年のバイクの日(8月19日)前後に、北海道ツーリングに来ている人たちを取材して雑誌に掲載するらしい。
私もその依頼を快く受け、簡単な自己紹介を書いて写真を撮ってもらった。普段バイク関係の本は読んでいないが、その雑誌が発売されたら買おうと思う。

取材を終えた後、私が今日の宿泊地をまだ決めていないことを話すと、編集者のおっちゃんが「別海町に良いキャンプ場があるよ。俺も今日はもう帰るから、案内するよ」と言ってくれたので、付いて行くことにした。
おっちゃんの愛車は↑の写真奥に写っているカワサキの旧車だ。車種は忘れてしまったが、年式を感じさせない美しさとエンジンサウンドを奏でていた。

こうして、2台のバイクは開陽台の駐車場を出た。丘を下り、やがて長~い直線の道に入る。
初めのうちは小型バイクの私に気を使って、ゆっくりめに直線道路を流していたが、私はしっかりと後ろをついてくるのを見て、前を走るバイクのスピードはグングン上がっていった。
もちろん初めて通る道で土地勘も無かったが、今回は先導車がいるので、私も安心して愛車のアクセルをあけ、愛車の性能をフルに活かしながら、夕焼けに染まる北の大地を爆走した。

開陽台から結構な距離を走ったが、ハイペースだったのであっという間に僕が昼間に通ってきた別海町に戻り、無事、明るいうちにキャンプ場に着くことができた。先導してくれたおっちゃんは近くに部屋を借りているらしく、重厚なエンジンサウンドを響かせて去っていった。
私は受付を済ませてテントを張り、近くの温泉に浸った。その帰りに牛乳を買って、テントの中で一気に飲み干す。こうしてまた、旅の途中の一日が終わるのであった。

【9日目移動距離・出費】
霧多布岬→根室→納沙布岬→開陽台→別海:290km
出費:2,490円
(ガソリン:1,000、食費:870、宿泊費:510、雑費:110)

・2014年8月22日(金) – 10日目

空が明るくなってきた午前5時、今日もすっきりと目覚める。旅は僕に早起きの習慣を与えてくれる。のんびりとお湯を沸かしてスープを飲んだ。
もちろん今日の天気も曇り空。それでも、また昨日と違う新しい一日が来たと思うと、楽しみで仕方が無い。

北海道の地図を見ると、根室と知床の間にピロッと突き出た細長い半島がある。その名も野付半島。なんだか面白そうなので、その突端を目指した。
国道244号線から右折して野付半島に入ると、左右の視界は海に挟まれ、その間の細い陸地を道路(道道950号線)が貫いていた。そんな道を15キロほど走ると、突然アスファルトの舗装が終わりを告げる。その先も砂利道が続いていたが、漁業関係者以外立ち入り禁止と書いてあるので、ここが突端のようだ。

  遊歩道があったので、そこを歩いて「トドワラ」という場所を目指した。
ちなみに、トドワラの「トド」とは、トドマツという樹木の「トド」らしく、 トドワラは海水に浸食され枯れたトドマツが立ち並び、荒涼とした風景を見ることができる場所だった。

遊歩道を30分ほど歩いてその場所に到着した。周囲を見渡すと、構造物は朽ち果て、樹木は枯れて横たわっている。 薄暗い曇天の空も合わさって、その光景はまるでこの世の終わりを感じる風景に思えた。
昨日、 厚岸町の「あやめヶ原」という場所で天国を感じたので、1日で天国と地獄?を行き来したようが感じだろうか…

また30分歩いてバイクを停めた場所まで戻ってきた。突端までバイクで走り、遊歩道を歩いただけであったが、それだけでも十分と思えるくらいの風景を見ることが出来た。 野付半島はまさに「この世の果て」と呼ぶにふさわしい場所であろう。

来た道を引き返し、再び別海町に戻った。ここに「ポークチャップの店 ロマン」というTVでも紹介されている有名店があるので、ロマンの特大ポークチャップを昼飯にすべく、正午前に店に入った。

「ポークチャップ(小)」を注文した。注文時に言われたとおり、調理に時間が掛かるようで、の~んびりと待って、40分後に熱々のポークチャップが出現した。
値段は1,600円。この旅一番の高価な飯だが、「小」を頼んだはずでもかなりのビッグサイズで、食べ応えは十分だ。40分ほどかけて間食し、腹十一分目の状態で、色んな出来事のあった別海町を後にした。

時折出てくる暖かな日差しを浴びながら、知床半島へ向かった。
写真を撮り忘れたのが残念だが、この後は知床半島羅臼側の突端にある海に面したダイナミックな秘湯、「相泊温泉」に入り、濃霧と雨の知床峠を越えて斜里町に入り、ここで日没を迎えた。

もう真っ暗になってしまったため、この日のキャンプは断念した。
ホテルに泊まると出費が痛いので、北見にあるネットカフェを目指すことにした。現在地は斜里町のウトロ地区。ここから約120kmの夜間飛行だ。

長~い夜道をひたすら走り、21時に北見市のネットカフェに到着。明日からは最北の地を目指すべく、狭い個室で旅のルートを考えるのであった。

【10日目移動距離・出費】
別海→野付半島→別海→羅臼→北見:425km
出費:4,301円
(ガソリン:1,896、食費2,305、温泉100)

・2014年8月23日(土) – 11日目

午前8時半に出発。サロマ湖へと向かう道中、道のど真ん中でくつろぐキツネと遭遇した。コイツは近づいても微動だにせず、意外と長い尻尾と足を広げて余裕の表情だ。まあ、食べ物をくれると期待しているのだろう。しかし、僕は何も食料を持ってねぇし、そもそも野生動物にエサをあげてはいけないのだ。
しばらくするとキツネは諦めたのか、勢い良く森へと帰って行ったのであった…

サロマ湖はオホーツク海に面した日本で3番目に大きな湖で、約152k㎡の面積を誇っている。その湖を一望できる展望台があると言うことで、「サロマ湖展望台」を目指し、山道を駆け上がった。
その道は結構な悪路で、乗用車や大型バイクでは走るのをためらうような道 (通行は可能だが…) で、さらに雨上がりでぬかるんでいてスピードが出せず、思いのほか時間がかかった。

この日の天気も安定の曇天であったが、無人の展望台から360度の展望を臨むことができた。北の方向、約250km先には私が最初に旅に出た日から憧れていた最北の地、宗谷岬が待っているのだ。そう思うとすぐにでも走り出したくなり、早足で展望台を後にした。

小雨が降ったり止んだり、少し日が差したりと変わりやすい天気の中、国道239号を北向きに走る。オホーツク海沿いにバイクを停めて、ふと海を見ると、雨上がりの空にうっすらと虹が架かっていた。
雄大な風景を横目に見ながら、海沿いにある幾つもの小さな街を通過し、その街の一つである雄武町の道の駅に立ち寄り、小休止した。

ここから先はひたすら走るのみ。といった感じで、どこを走ったか、どこに立ち寄ったか今では覚えていないが、思ったよりも宗谷岬が遠かったことは覚えている。それでも走り続けたことで、何とか夕方の明るい内に宗谷岬に立つことができそうだ。

稚内市に入ったところで、長~いお付き合いだった国道239号線とお別れして内陸に入り、宗谷丘陵という牧草地が広がる丘の中を貫く道路を走った。見晴らしも良く、鹿さんにも会える走り応えのある道だ。

丘の上の道はそのまま最北端の場所に続いているようで、最後に急な坂道を下ると、もうそこは宗谷岬の駐車場だった。

こうして、2014年8月23日(土) 16時45分。遂に最北端の地、宗谷岬に到達した。
前回の2013年3月に行った西日本一周の旅で九州最南端の地である佐多岬に到達しているので、これにてバイクで日本縦断を達成したこととなった。あとはこの旅を無事に終えて自宅に戻り、日本一周の達成を目指すのみである。

外気温19.4℃。8月の稚内では平均的な気温だろう。
「日本最北端の地」の石碑を拝み、これからも続く旅に思いをはせながら宗谷岬を後にした。何年後になるか分からないが、この地をまた訪れたい。そう思いながら…

再び国道239号線に入り、稚内の市街地方面に向かって走る。その道中に予約していた宿「バイクステーション稚内」があるので、チェックイン。
ここは数日前に釧路で宿泊した時と同じバイク屋が運営している宿泊施設だ。部屋にはベッドしか無いが、シャワー&コインランドリーが無料で使え、安価ながら快適に過ごすことができた。

宿で荷物を降ろし、日没までまだ時間があったので少しお出かけ。最北の街、稚内の市街地を抜けて夕日の名所と言われる「ノシャップ岬」へ。

ここは人もいなくて波の音だけが聞こえる静かな場所だった。ちょうど日の入りの時刻であったが、分厚くて気味の悪い雲が空を遮り、夕日を拝むことは叶わなかった。

ここ稚内は色々な最北端が揃っている街である。日が沈んでもう真っ暗であるが、続いては最北端の駅と線路がある稚内駅に立ち寄った。
この駅は鉄道(JR宗谷本線)の駅と道の駅が直結している珍しいパターンだ。確かに「駅」同士ではあるが…

道の駅にバイクを停め、真新しい駅ビルに侵入して「最北端の線路」を写真に収めた。まだ19時台であるが、 稚内駅の1つしかないプラットホームには最終列車がスタンバイしている。ここの周辺も人は殆どいなかったが、道の駅の駐車場だけは車中泊と思われる車で賑わっていた。

その後はデパートみたいな大きなビルの中にあったスーパーで半額食材を調達し、宿に戻って夕食にした。そのスーパーは至るところにロシア語が書いてあり、ロシアを感じることができる場所だったが、物価が高く、半額でも余り安く無かったような記憶がある。

テントと違って室内は広くて快適だ。のんびりと明日の行動を考えていたら日付が変わってしまった。
午前0時半の就寝で、今日も新鮮だった一日が終わった。明日からは進路を南へ変え、遥か2,000km先の自宅を目指して、旅はまだまだ続いていく。

【11日目移動距離・出費】
北見→サロマ湖→宗谷岬→ノシャップ岬→稚内:420km
出費:6,241円
(ガソリン:2,317、宿泊費:2,160、食費:904、お土産:1,070)

【バイク日本一周旅】東日本編(12~15日目:北海道一周その3)へ続く…