2019年GW・新緑と残雪の佐渡島バイク旅行

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2019年5月4日~5日に新潟県の離島、佐渡島をバイクで旅行しました。

佐渡島(さどがしま)は新潟市から50kmほど沖合にある島だ。市町村合併で今は島全体が「新潟県佐渡市」に属している。離島でありながらも、バイクで一周すると200km以上の距離があり、海岸沿いから山岳地帯に田園風景と風景も変化に富んでいて、昔から走ってみたいと思っていた島である。

本州から佐渡島へ渡るルートは主に以下の2つとなる。(2020年現在)
以前は他の航路や新潟空港と佐渡空港を結ぶ飛行機もあったようだが、いずれも廃止され、今は佐渡汽船のフェリーでしか行くことができない。

  1. 新潟港から両津港行きのカーフェリーに乗る (所要時間:2時間30分)
  2. 直江津港から小木港行きの高速カーフェリーに乗る (所要時間:1時間40分)

※車やバイクを載せない場合は、新潟港と両津港を1時間5分で結ぶ高速船(ジェットフォイル)を利用することもできる。(ただし、料金は少しお高め)

僕は往路に1番の直江津航路、帰路に2番の新潟航路を利用した。直江津航路は便数が少なく、特に大型連休中は満員になることがあるため、注意が必要だ。事前に予約をしておくのが無難だろう。
実をいうと、僕は2015年のゴールデンウイークにも佐渡島行きを計画し、関東からはるばる直江津港までバイクを走らせて来たのだが、フェリーの予約がいっぱいで島へ行けなかったという、無計画が災いした残念な思い出がある。
2019年のゴールデンウイークは改元に伴う10連休だったためか、移動が分散して予約に若干の空きがあったため、出発の2日前に予約し、4年前の無念をここで晴らすことに成功したのである。

直江津港9時30分発、佐渡汽船の高速カーフェリーに乗船。港を出ると一気に速度を上げて、通常のカーフェリーの2倍の時速80km/hほどで進む。

定刻通り、11時10分に佐渡島の南部に位置する小木港に上陸。ここから、新潟県道45号(佐渡一周線)を走って、時計回りに島を一周したい。
小木港は佐渡島南の玄関口であるが、小さな街なのでバイクで数分も走るとすぐに人家が少なくなり、田園風景が広がる。

まずは佐渡島の最西端にあたる「沢崎鼻」付近にバイクを停める。海の透明度が高く、水の中を見るとまるで沖縄の離島に来たような感覚だが、断崖と草原が続く陸の景色は北海道に近い感じだ。

5月の爽やかな風を感じながら、北へ進む。視界の左側には美しい日本海の先にまだ多くの雪が残る大佐渡山地を見る。

島の北側の走破は明日に持ち越すことにして、金の産出で古くから栄えた街である相川から、多くの観光客で賑わう佐渡金山跡を抜けて、県道463号線(大佐渡スカイライン)で、一気に標高1000m近い山の世界で向かう。
途中、「大平高原」という小さな草原地帯でバイクを停めて小休止。眼下には佐渡島の中心である国仲平野が広がる。

更に標高を上げていく途中、県道を外れて砂利の悪路を数百メートル走り、「乙和池」に立ち寄ってみた。水面に森が映える神秘的な場所だったが、池の周囲は荒れ果てていて、周辺を散策するにはそれなりの装備と気合が必要と感じた。

乙和池から更に登っていくと、大佐渡スカイラインの最高所(標高:942m)に到達する。残雪を頂く山々が目の前に現れ、ここが離島であることを忘れさせてくれる。眼下に絶景が広がる中、この先にある休憩所「交流センター 白雲台」を目指して再びバイクを走らせる。

「交流センター 白雲台」には売店を兼ねた小屋があり、小屋の外は展望台になっている。標高850mの白雲台から見えるのは、両津港周辺の街から海の向こうの新潟の山々、振り返ると大佐渡山地の山々が目の前に鎮座する圧巻の風景だ。

白雲台を去った後はコンクリート舗装の急坂を下り、この日は島内で1泊し、翌日は時計回りに島を一周することにした。

佐渡2日目も快晴で、朝から気分よくバイクを走らせる。交通量皆無の県道45号(佐渡一周線)沿いには奇岩地帯が多く、所々でバイクを停めて写真撮影した。

島の最北端は弾崎(はじきざき)という場所で、灯台があるらしいのでとりあえずそこを目指して北に走る。
比較的メジャーな観光地で水族館もある尖閣湾周辺よりも北へ行くと、人口も極めて少ない過疎地帯へ突入していく。素掘りのトンネルや高さ100mはありそうな橋などダイナミックな自然を堪能できるエリアで、バイクで走りがいがあるとも言えるだろう。

佐渡金山跡のある相川から北へ50kmほど走ると、草原地帯が広がる場所の奥にどっしりとした巨大な岩?が見えた。
「大野亀」と言うらしく、遊歩道が整備されていたので近づいてみるが、途中で立ち入り禁止になっていたのでこの岩の上には行けないようだ。昔は行けたっぽいだけに残念…

この大野亀のてっぺんからはきっと素晴らしい景色が広がっているんだろうな…と思いつつも、行けないので遊歩道を引き返す。ちょうど1台の路線バスが通過していった。素朴な草原の風景の中を古い路線バスが走る光景は、何だか印象に残っている。

大野亀からバイクで数分走ると、そこはもう佐渡島最北端の「弾崎」だ。観光地化されてなく、荒れ地の中にひっそりと「弾崎灯台」が日本海を見守っている。
この場所で佐渡島在住の夫婦と会って少し話をしたが、この年(2019年)の1年前までは灯台の隣にフィールドパークがあって、休日はキャンプをする人たちでそれなりに賑わっていたようだが、今日来てみたら無くなっていたので、つい最近に潰れてしまったようだ。

人がいなくなって1年もしないうちにここまで雑草まみれになってしまうとは、自然の力の強さを改めて感じた場所であった。
灯台の入り口には桜の木が立ち並んでいる。この日は5月5日でもう葉桜に近い状態ではあるが、かろうじて桜を見ることができた。2019年に桜を見るのも今日が最後に違いない。

弾崎からは両津港方面へ南に向かって走る。快走路ではあるが、大野亀のような景勝地は無く、素朴な漁村がポツポツとある単調な道に感じた。30kmほど走った所で右折して県道81号(佐渡縦貫線)に入り、新緑がきれいな山道を駆け上がり「ドンデン山」と言う変な名前の山を目指す。

その道は急坂、急カーブで時間が掛かったが、標高900mのドンデン山荘からは5月でも多くの雪が残る山々と、麓には汽水湖である加茂湖と両津の街を一望する。こうしてみると、大きいように思っていた佐渡島も何だか小さく見えるものだ。ドンデン山荘より先も道は続いているが、まだ冬季閉鎖中のため、ここで引き返して、また南の方向へバイクを走らせる。

島の東側にある「姫崎灯台」に立ち寄る。この灯台は日本で最古の鉄塔式灯台らしいが、目立った錆も無くて良い状態を保っている。形も珍しいデザインで青空とのコラボレーションが美しい灯台だ。海の方を見ると、ちょうど両津港を出港した佐渡汽船のフェリーが進んでいく。今日の夜にはあのフェリーに乗って島を出ることになるが、もう少しだけ佐渡のバイク旅を楽しみたい。

姫崎灯台から南は快走路だが、また単調な海岸線が続く。海の向こうには約50km先の本州がはっきりと見える。僕が昔走ったことのある中では、淡路島の洲本から南あわじへ向かう道も同じような風景だった記憶がよみがえった。

海沿いの道を外れて、またコンクリート舗装の急坂を駆けあがる。佐渡島で最後の立ち寄り地として、「岩首昇竜棚田」の展望小屋を目指す。狭い斜面に造られた棚田が、まるで竜が昇っていくかのように海から続いていることからその名が付いたようだ。

農地整理や後継者不足により、棚田の数は50年前の半分以下になってしまっているが、「あきらめてはならないことがある、失ってはならないものがある」のスローガンの下、地元の方々の地道な努力によってこの風景は守られているのだろう。
募金箱があったので、少しばかりの小銭を投入して、誰もいなかったので小屋で缶コーヒーを飲みながら、しばしゆったりとした一人の時間を過ごした。

最後は日帰り温泉に入って、新潟行きのフェリー最終便に乗るべく、両津港に向かって走る。その途中に「佐渡空港」があるので、滑走路と並行して続く一般道を走ってみた。
昔は新潟空港と佐渡空港を結ぶ定期便があったそうだが、今は廃止されていて、佐渡島はフェリーでしか行くことのできない島なのである。ジェットフォイルを利用すれば、新潟港~両津港は67分で移動できるので、費用対効果を考えると、飛行機の廃止は仕方ないことかも知れない。羽田空港から直行便を運航すれば、それなりに需要はありそうな気もするが、佐渡空港の滑走路は850mしかないので、大型機の運航はできないのだろう。

そんなことを考えながら、両津港に到着。ゴールデンウイーク期間なので車は満車だが、バイクは問題なく乗船できた。新潟港までの所要時間は2時間半だが、佐渡汽船のフェリーはかなり大きく、北海道に行くフェリーと同じくらいの大きさに見えた。

船内も広く、2等船室は雑魚寝のじゅうたん部屋になっている。2時間半しか乗れないのが勿体ないくらい豪華な造りだったが、乗船して10分位で爆睡…

目を覚ますとそこはもう新潟港の目の前で、外に出ると大都会新潟の夜景が美しい。フェリーは定刻通り新潟港に到着したが、時刻はもう22時なので、今日は新潟市内で宿泊し、翌日に帰宅しました。
島内での走行距離は2日間で約300kmで大自然を満喫したバイク旅。また佐渡島に行っても良いし、別の離島にも行ってみたい。そう思える旅でした。≪終≫