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2015年3月11日(水) – 17日目
宮古諸島の下地島にあるホテルで迎えた旅行17日目の朝。遅めに起きて、風呂に入って朝食を食べる。昨日と同じルーティンだが、これまでの旅で散々野宿に近い生活を送ってきた者としては、こんな過ごし方は贅沢に感じていた。
今日は3泊4日に渡って滞在した宮古諸島を発ち、沖縄本島に戻る日だ。午前11時のチェックアウト時間ギリギリに宿を出発して、もう10回近く走っている伊良部大橋を渡って、レンタルバイクを返却すべく宮古島のバイク屋に向かう。
バイク屋で47時間だけ愛車となったレンタルバイクを返却して、宮古空港へ向かう。距離は4kmほど離れていたが、予約している飛行機の時刻まではたっぷりと時間があるので、徒歩で空港へ向かうことにした。
予定通り、徒歩1時間で宮古空港に到着。空港内で昼飯を食べ、帰りの飛行機の搭乗手続きを行った。宮古空港は離島らしく小さい空港なので、行きよりもスムーズに搭乗を終え、宮古島とお別れした。
低空飛行のヘリに遭遇
14時55分発スカイマーク那覇行きの飛行機に乗って、約50分で那覇空港に到着。やっぱり飛行機での移動は早くて、ほんの2時間前までは宮古島の地に立っていたのに、今はもう那覇で自分のバイクに跨っている。
日没までまだ時間があったので、再び西海岸の海沿いを自分のバイクで駆ける。真栄田岬→残波岬と立ち寄って、沖縄の地に沈む夕日を見た。
残波岬灯台
この後は再び那覇に戻るのだが、ここでスマートフォンの充電が底を尽きた。最近、旅の道中はスマホ(3G回線で遅かったが…)のナビゲーションに頼ってばかりだったので、ナビ無しで走るのは久しぶりだ。
しかし、今日まで沖縄には1週間以上滞在しているので、沖縄の道路はある程度頭に入っているはずだ。そんな己の記憶と、街中の青看板だけを頼りに那覇のネットカフェを一直線に目指した。
迷子の果てに辿り着いた夜景スポット?
しかし案の定、迷子になったようだ。那覇郊外の高台にある静かな住宅地をウロウロしたあげく、行き止まりで引き返す。夜なので辺りの風景が良く分からないのも、迷子を長引かせた一因だろう。
こうした迷走の果てに、那覇の夜景がきれいな少し開けた場所に出た。その夜景を旅の思い出の一つとして、その光景を少しばかり目に焼き付けたが、長居すると不審者に思われそうなので、そそくさと来た道を引き返し、遠回りだったが、おとなしく大通りをぐるっと走って、何とか目的地の宿泊地(この日も安定のネットカフェ)に無事到着し、特に長く感じた一日が終わった。
【17日目移動距離・出費】
下地島→宮古島→那覇→真栄田岬・残波岬→那覇:162km(内、レンタルバイク:52km)
出費:4,696円(ガソリン代:854円、食費:1,230円、那覇空港駐輪代:1,500円、その他:1,112円)
2015年3月12日(木) – 18日目
宮古諸島でののんびり生活の影響もあってか、早起きに失敗し、安価なネットカフェの8時間パックを超過してしまった。仕方がないので、12時間パックを選択して午前11時までネットカフェで漫画に興じた。
今日は長かった沖縄の旅が終わり、ついに自宅へと帰り始める日だ。感覚的には旅に出てから数か月間経ったような感じなので、名残り惜しさは特に無く、自分の中では十分に旅を満喫できたと思っている。
当初の予定では、那覇から鹿児島行きのフェリーに乗り、熊本→長崎→福岡…と九州の西海岸を走って大阪まで自走で帰る計画だったが、既に達成感があるのと、何より残金がいよいよヤバくなってきたので、週に1回運航している那覇→大阪・神戸行きのマルエーフェリーに乗って、一気に自宅を目指すことを決めた。
A`LINE「琉球エクスプレス」に乗船
お土産を買って、いよいよ帰路につく。フェリーにはレストランが無いので、途中でスーパーに立ち寄って2日分の食料を補給する。
那覇新港の受付所は昭和の頃から変わらずな感じで、営業しているのか不安になったが、しっかり営業中で、スムーズに乗船手続きを終えた。
これまでの旅で乗船した北海道行きの「新日本海フェリー」はいつも多くの乗船客で賑わっていたが、このフェリーに乗船する人は少なくて、私が見た限りでは10人ほどのようだ。皆、トラックや車に大量の荷物を積んだ人達で、バイクでの乗船は私だけだった。貨物コンテナや無人の車、バイクは大量だったので、沖縄~関西航路は明らかに乗客よりも貨物がメインなのだろう。
安定の曇り空の下、沖縄の大地に別れを告げる
暫くの間、港にバイクを停めて待機して、出航の30分前に貨物搬入の合間を縫うようにして、バイクごとフェリーに乗船した。
間も無く、16時ちょうどにマルエーフェリー「琉球エクスプレス」は高らかに汽笛を鳴らして、那覇新港を出航した。これから大阪まで40時間の長い船旅が始まる。
このフェリー、最終到着地の神戸港までは所要時間が43時間と、2015年当時、日本の旅客船の中では最長の運航距離、時間を誇っていた。時間をたっぷりと持て余しそうだが、2013年3月から約2年、3回に分割したものの、こうして無事に達成目前となったバイクで日本一周の旅を存分に振り返りたいと思う。
【18日目移動距離・出費】
那覇→那覇新港:10km
出費:34,235円(フェリー料金:24,700円、宿泊費:1,860円、食費:1,881円、その他(主にお土産代):5,794円)
※累計:139,268円
こうして、旅の予算であった15万円はほぼ底を尽きたが、後は船内での食費と大阪南港から自宅までのガソリン代程度なので、何とか金欠は免れそうだ。
旅の達成感、満足感からか、夕食を食べる前のひと眠りがそのまま睡眠となり、あっけなく船内での初日を終える。
2015年3月13日(金) – 19日目
夕方から寝ていたので、午前0時に目が覚めた。誰もいない船内の片隅で、昨日スーパーで買った弁当を食らってまた寝る。
午前7時、外が明るくなったので船内のデッキへ上がると、寒さが身に染みた。とは言っても、気温10℃の快晴で穏やかな天候なのだが、この旅の3日目に鹿児島新港を発ってから15℃以下になることが無かったので、僕は寒さに弱くなったようだ。
かすかに噴煙を上げる口永良部(くちのえらぶ)島
雑魚寝部屋に戻ってまた寝て、2時間後に起きて飯食って外に出る。
ちょうど、フェリーが鹿児島県の屋久島と口永良部島の間を通っているようで、両島が至近距離で良く見えた。こんな光景が見れるのも船旅ならではだろう。
洋上から屋久島の険しい山々を見る
今日の天気は快晴で気温18℃と、外でボーっとするには最適な気候だ。
こうしてボーっとしてる間もフェリーはぐんぐんと北上し、気が付けば九州の大地が目の前に迫っている。そこに見えたのは、今となっては遥か昔の出来事に感じていて、この旅の3日目に立ち寄った場所、野良馬が生息する宮崎県の都井岬だ。
大隅半島のどこか
都井岬付近
16日前に登った灯台も見えて、ちょっと感動!
快適な気候もあって、1時間はデッキの上をウロウロしていた。ほぼ誰も来ないので、一人で旅情に浸るのには最適だった。
夕方になって少し冷えてきたので、早めにシャワーを浴びて夕食を食べた。
船内で過ごす孤独で静かな夜は、これまでの旅のこと、これからの新生活のことなど…色々考え事をすると、思いのほか時間のたつのは早くて、午前0時を過ぎていた。昼間に寝すぎて寝れないのだ。
もう明日の朝には大阪南港に到着だ。強引に横になり、午前2時頃には寝ることに成功できたようだ。
【19日目移動距離・出費】
那覇→関西行きフェリー船内:0km
出費:680円(食費)
2015年3月14日(金) – 20日目
午前6時15分、大阪行きフェリーの船内で、バイク日本一周旅最後の朝を迎える。大阪南港への到着は午前7時の予定であったが、少し早く到着するようで、私は駆け足で身支度を済ませ、下船の準備を整えた。
長いようで意外と短く感じた約40時間の船旅を終えて、大阪の地に帰ってきた。気温は6℃で小雨まで降っていて、その寒さが身に染みるが、スマホのナビを自宅にセットして、バイクを走らせる。
土曜日の早朝だったのもあり、道は空いている。寒さにやられて休憩したりもしたが、1時間少々で自宅への帰還に成功した。
こうして、私の学生時代の旅は無事に終わりを告げた。20日振りにいつもの駐輪場所に戻って来たバイクは汚く、過酷な旅を思い出させてくれた。
【20日目移動距離・出費】
大阪南港→自宅:44km
出費:0円
このブログを書いている時に知ったのだが、今回乗船した那覇と神戸を運航するマルエーフェリー「琉球エクスプレス」は2017年10月をもって旅客船としての運航を終了していたようだ。この旅で訪れた熊本県阿蘇地方も2016年の熊本地震で道路が壊れ、地形も以前と大きく変わっている場所もある。
私がこのバイク日本一周旅で見た風景の中には、今はもう見ることのできないものもある。そう思うと、旅は先延ばしにしないで、行けると思った時に行くのが大事だと感じている。
走行距離は7万キロ目前、このバイクも長旅で酷使したが、
間も無く、新生活スタートで東京まで自走するのであった…
【バイク日本一周旅】南西諸島編 まとめ
旅行期間:2015年2月25日(月)~2015年3月14日(月) – 20日間
走行距離(レンタカー、レンタルバイク含む):3,150km
宿泊地:大阪(出発)→別府→宮崎→鹿児島~奄美大島行き船内→奄美大島→徳之島→北谷町→那覇→宮古島→下地島→那覇→那覇~大阪行き船内→大阪(帰宅)
旅費合計:145,373円
(内訳)
交通費(フェリー):56,370円
交通費(那覇~宮古島飛行機):8,000円
交通費(バス、モノレール):1,420円
有料道路料金:140円
宮古諸島でのレンタカー、レンタルバイク代:10,200円
ガソリン代:10,575円
宿泊費:23,453円
飲食費:22,955円
風呂、洗濯代:1,600円
施設見学料金:2,410円
お土産代:6,752円
※多少の誤差あり。
2014年8月の「バイク日本一周旅(東日本編)」では日程が18日間、走行距離6,145km、費用が71,809円。2013年3月の「バイク日本一周旅(西日本編)」では日程が12日間、走行距離3,684km、費用が42,636円であったので、結構急ぎ足だった区間もあるが、これが僕の実績なので、最低限このくらいの予算とお金があれば、バイクで日本一周することは十分可能 だろう。
(沖縄に行かないのであればさらに日程と予算を削減できるが、飲食費などはもう少し用意したほうが旅をもっと楽しめるはずだ)
【バイク日本一周旅-トータル】
日程:50日間(西日本12日+東日本18日+鹿児島・沖縄20日)
費用:259,818円(42,636円+71,809円+145,373円)
バイク走行距離:12,979km(3,684km+6,145km+3,150km)
僕はこの5日後に専門学校の卒業式に出席し、その10日後には、当面の生活費である全財産の5万円を握りしめて、新生活を始める東京へとバイクを走らせたのであった…
山梨県の富士スバルラインにて
あれから5年、色々あったが、何だかんだで東京の郊外で今も過ごしていて、こうしてブログを書いている。
その間に大型バイクの免許も取得した。旅の愛車だったバイク(ヤマハ マジェスティ125Fi)は、関東でも買い物や週末の小さな旅の相棒として活躍していたが、走行距離が8万キロを超えた頃からはさすがに色々とガタが出始め、エンジンから異音も聞こえる状態で、購入から5年目、走行距離は86,000kmを超えた2017年の夏に1万円の買取で手放した。
その後はスーパーカブを購入したりして、引き続きバイクを楽しんでいたのだが、先日、1100ccの大型バイク購入の契約をしてしまった。
始めてバイクに乗り始めてから10年、2010年代は日本の隅々までバイクで駆けまわったつもりだが、まだまだ行けていない場所はたくさんある。2020年代も新しく大きくなったバイクで旅を続けて、細々とこのブログにその旅の記録を残してゆきたいと思っている。 2020年2月.yushiki(ブログ運営者)
【バイク日本一周旅】-END-