【2018年夏・北東北バイク旅】

スポンサーリンク

世間はお盆真っ盛りの2018年8月10日(金)~13日(月)の期間、僕も短いお盆休みを迎えたので、バイクで北東北(主に青森県)を旅行地とした単独旅に繰り出しました。

今回は真夏の旅だったので、衣類はそれほどかさばらずに済んだ。キャンプ場での宿泊がメインとなるため、キャンプ用品が荷物の大半を占める感じだ。部屋の中で全ての物を広げたときは、結構コンパクトにまとまったと思っていたが、バイクに積載すると結構パンパンで、今回も大荷物となってしまった。

前日まで仕事だったため、夜間に荷物の仕分けと積み込みをしていたら、案の定睡眠時間が短くなったが、何故か午前3時に起床。いよいよ旅のスタートだ。

・2014年8月10日(金) – 1日目

この旅、悪天候なら中止すると決めていたが、当日の天気予報は曇りが続く感じで、決断に迷う微妙な予報だった。少し迷ったものの、これを逃すと次はいつ行けるか分からないので、この旅の決行を決断した。
3:30 まだ周囲は闇の中、自宅を出発する。
圏央道の高尾山ICから圏央道を1時間ほど走り、その後は東北自動車道で北上するルートで、ひたすら北を目指して走る。目的の松尾八幡平ICまでは遥か遠い道のりで、その距離は約600km。
群馬県に入る頃にようやく日の出を迎え、既に蒸し暑い夏の朝の風をきって、延々と走り続けた。その道中は何回もパーキングエリアで休憩しながら、どこか(忘れた…)のパーキングエリアで朝食も食べて、順調に移動を進めた。
11:30 東北自動車道 松尾八幡平ICで一般道へ。

眼下に樹海が広がるワインディングロード「八幡平樹海ライン」と「八幡平アスピーテライン」を走る。仙台辺りまでは蒸し暑かったが、ここまで来ると気温と湿度ともに下がって、バイクで走るには快適な環境だ。

路肩にバイクを停めていると、一匹のトンボが近づいて、ミラーの上や僕の指先に止まった。このトンボもバイクが好きなのかも知れない。そんな東北の自然を感じながら峠を越えて、岩手県から秋田県に入る。

8月とはいえ、東北の峠をバイクで走ると体が冷えてくるものだ。そんな時に雰囲気のある温泉宿を見つけたので、日帰り入浴に立ち寄った。
12:55 後生掛温泉に入浴。酸性が強めの風呂もあって尻がヒリヒリしたが、昔から変わらない木造の浴場は、まるで昭和初期にタイムスリップしたような感覚に陥ることができて、ついつい長居してしまった。
後生掛温泉(ごしょうがけおんせん) …湯治場として古くから親しまれていて、箱蒸し風呂、火山風呂、泥風呂など効能豊富な温泉で寛ぐことができる。

風呂上がり、このまま休んでも良いような気分だが、今日のキャンプ地はまだまだ先の青森県深浦町を予定しているので、再びバイクに跨り出発だ。
14:00 山を下り、八幡平アスピーテラインの突き当たりを右折して、国道341号線に入る。その交差点の脇に「北緯40度ライン」のモニュメントを発見したので立ち寄ってみる。

峠道と田園風景が交互にやって来る秋田のローカルな道路を一気に通り抜け、日本海沿いの国道101号線に入る。
17:00 日本海に沈む岩々を横目に、キャンプ場を目指してさらに北へ向かう。

JR五能線の十二湖駅前の交差点を右折して、深い山中に入る。白神山地の一角で津軽国定公園内に所在する総称「十二湖」を目指す。 その幾つかの湖の奥にあるのが、今日の目的地「十二湖リフレッシュ村キャンプ場」である。
17:35 未明に自宅を出発していから約14時間後の到着。長かった移動も終わり、キャンプ場の名前の通り、ここでリフレッシュしたいところだ。

18:05 受付を済ませて、テントの設営も何とか明るいうちに終える。
ここで、出発前に間に合わなかったスマホなどの充電用の電源を突貫で取り付ける。今や色々と機器類の充電を必要とする時代、キャンプ泊が連続すると、電源の確保は結構大きな問題になるので注意したいところだ。

途中、秋田の道の駅で仕入れた食材を夕食にした。ちょっと量が少なかったので、明日は大盛りで食事したい。
21:00 今日は昼間に温泉も入ったので、早めに寝て旅の初日を終えた。

・2014年8月11日(土) – 2日目

6:00 起床するも外は土砂降りの雨で、トイレに行くのも厳しい天候だ。テント内でダラダラしていると、やがて小雨になってきたのでトイレに行き、簡易的な朝食を食らう。

7:50 キャンプ場を後にして、十二湖を回ってみる。
このキャンプ場、静かな森の中で自然環境は良かったのだが、蚊が多くて全然リフレッシュできなかった(笑)。夏のキャンプでは虫対策は重要だ。

静かな湖畔の森を歩いて、たっぷりのマイナスイオンを浴びた…ような気がする。「落口の池」の脇にはたっぷりの湧き水が飲用できる水汲み場があり、ここで朝から水をがぶ飲みした。

8:35 十二湖から山を少し下った場所にある「日本キャニオン」という場所を目指す。小雨が降る中、駐車場所から登山道を10分ほど歩き、その先にある展望台からその様相を見た。
日本キャニオン…白神山地の手前にある大断崖で、浸食崩壊によって白色の凝灰岩がむき出しになり印象的な景観を作り出している。成因は氷河の名残ではないかとも言われているが、諸説あり。1953(昭和28)年、探検家の岸 衛がアメリカ合衆国のグランドキャニオンに似ているという理由から命名され、以後、日本キャニオンとして知られるようになったそうだ。

国道101号線に出るとすっかり雨も上がり、日本海と断崖の風景を見ながら快適に青森の地を駆ける。十二湖から距離にして約100km、2時間の移動の果て、日本海に面した青森県で3番目に大きな湖である「十三湖(じゅうさんこ)」に到着。
十三湖の由来は13の川が流入しているなど諸説あるが、真相は定かではない。ちなみに、さっきまで滞在した「十二湖」と続いているような名前だが、全くの無関係だった。
11:15 湖畔にある食事処 和歌山で昼食。

店の名前は和歌山だが、ここ青森県十三湖名物のしじみ汁の付いた刺身定食(1,200円)を頂く。昨日の食事量が少なくて腹が減っていたのもあり、一気に完食して満足だ。
11:45 十三湖を横目に津軽半島の突端、竜飛岬(たっぴみさき)を目指して快走。

国道339号線を延々と北に向かう。ここは青森県だが、この交通量の少なさと、冬季積雪時に道路境界の目印になる赤白のポールが立ち並ぶ風景を見ると、北海道に上陸したような感覚になれる。竜飛岬に近づくにつれて標高が上がり、道は海沿いの直線道路から急カーブのワインディングに変化する。

12:45 ワインディングを登り切った頃には空を覆っていた雲も晴れ、快晴の竜飛岬に到達。早速バイクを降りて岬の突端に立つと、海の向こうに浮かぶ北海道の大地と下北半島が良く見えた。

13:00 アジサイが道の両脇に咲き誇る小道を歩いて、竜飛岬の名所?である国道339号の「階段国道」へ。たたの遊歩道にしか見えないこの階段が、何故か国道に指定されている変な道路だ。
国道339号線… 青森県弘前市を起点として東津軽郡外ヶ浜町に至る、延長約127kmの一般国道。北津軽郡中泊町大字小泊から東津軽郡外ヶ浜町龍飛にかけて(さっき走った急こう配ワインディングの区間)は、通称「竜泊ライン(たつどまりらいん)」と呼ばれている。龍飛岬付近に、日本の国道で唯一の階段と歩道で構成された自動車通行不能の区間があり、この場所が「階段国道」の名で知られていて、近年では観光スポットにもなっている。

センターラインのある普通の国道は、竜飛岬の少し南側で突然その姿を変貌させる。道幅はこれまでの半分以下、傾斜も急坂(というかもはや階段…)、センターラインは白線から手すりへと変わり、これが同じ国道であるとは、看板が無ければ誰も信じない道であろう。
竜飛岬灯台側から竜飛漁港側に歩いたので、その道のりを順番に写真で紹介したい。

階段国道の区間は僅か350mほどで、写真を撮りながらゆっくり歩いても8分で下の竜飛漁港に着いた。高低差が70mほどあるそうなので、ちょっとした登山に近い感じだ。
13:20 公衆トイレで用を足して、さっき降りてきた階段国道を今度は登る。青森まで来たとはいえ、今は夏で気温は25℃を超えている。登りきった時には体はすっかり汗ばんでいた。

竜飛岬の自然豊かな景色を堪能したので満足してバイクに跨り、この地を後にした矢先、ちょっとした展望台を見つけたので不意の寄り道。お盆でそこそこ混雑してい竜飛岬だが、この展望台には誰もいない。しばし遠くを眺めてリフレッシュ。

この旅の2年前に開通した北海道新幹線と並行する道を通って、外ヶ浜町の蟹田港へ向かう。津軽半島の東側に所在するこの港からは、向かいの下北半島の脇野沢行きのフェリーが運行している。これで一気に下北半島へワープだ。
15:30 むつ湾フェリー 脇野沢行きにバイクごと乗船。陸奥湾の風景を眺めながら、約1時間の船旅だ。

16:35 フェリーは定刻通りに下北半島の脇野沢港に到着。バイクで下船してそのまま走り出す。
今日の宿泊地はここから約30km先のキャンプ場を目指す。道の駅で入手したガイドブックに載っていた湖畔のマイナーなキャンプ場らしいが、情報を見る限り無料で水道・トイレ完備となかなか環境は良さそうだ。

17:15 目的地の「野平高原キャンプ場」 に到着。広々とした芝生のキャンプサイトなので、好きな場所を探してテントを設営した。
このキャンプ場、こんなに広くてお盆の真っただ中なのに、利用者は僕を含めて4組しかいない。ここに滞在して1か月位になるというおじいさんと話をしたが、ここには基本的に誰も来なくて、たまにバイクの旅人が1泊していくだけらしく、今日は一番賑わっている日らしい。たった4組で…

18:10 今日はまだ風呂に入っていないので、近くの温泉「湯野川温泉 濃々園」へ。元々は旅館だったが閉館した建物を改装して作られた日帰り温泉施設だ。
しかし、入り口に来てみると館内は薄暗い。19時閉店なのでまだ余裕だと思っていたが…と諦めかけたところで、奥から受付のおっちゃんが出てきた。
まだ営業はしているようだが、「19時までに絶対に出て欲しい」と念を押された。どうやら過去のお客さんで19時を大幅に超過して温泉に入っていた人がいたらしく、しかも女性だったので風呂場に入って注意することも出来ず、大変だったのがトラウマになっているらしい。

温泉は木造の内風呂と緑豊かな森の中を流れる小川を見ながら温泉に浸れる露天風呂がそれぞれ一つで、閉店間際でもちろん貸し切りだ。
30分ほど滞在して、おっちゃんの不安を早く解消してあげるべく、18時45分には温泉を後にした。長居はできないかったが貸し切りで入れたので、この時間に来たのも悪くはなかった。

19:25 フェリーに乗る前に蟹田港の売店で買った食材で夕食だ。焼きそばとスムージーという異色の組み合わせだが…
ここのキャンプ場は静かで虫もいなくて快適だ。曇り空で星が見えなかったのは残念だが、ここをキャンプ地にして良かった。そう思いながら、短い旅の2日目が終わった。

・2014年8月12日(日) – 3日目

5:30 こんな早朝に起きることは仕事でもない限り絶対に無い。にも関わらず、自然と目が覚めるのも旅とキャンプの力なのかも知れない。曇りだが、雨は降らなかったみたいだ。

6:40 早朝からバイクを走らせ、キャンプ場から15分ほどの場所にある仏ヶ浦駐車場にバイクを停める。ここから海岸まで遊歩道が整備されているので、山を下ること徒歩10分で「仏ヶ浦」に到着だ。
仏ヶ浦…青森県下北郡佐井村に所在する白緑色の凝灰岩が連なる奇岩地帯。 国の名勝と天然記念物に指定されていて、蓮華岩、帆掛岩、極楽浜…など名前のついている岩々も多い。

山を下りて海岸に出ると、さっきまでの森の風景は一変して大きな岩がゴロゴロした砂浜の風景が視界に広がった。早朝で風や波も穏やかだったのでとても静かだ。音の無い世界がそこにあった。

奇岩地帯を歩いていると、まるで別の惑星にワープしたかのような光景で、不思議な世界感に浸ることができる。しかし、地面がヌルヌルしているところもあるので、よそ見をしていると転倒もあり得るだろう。油断は禁物だ。

早朝の仏ヶ浦を30分ほど散歩した後、この場所を去った。この時は曇り空だったので、またいつか晴れている時に訪れたい。そう思える場所だった。
7:45 国道338号沿いの仏ヶ浦展望台に立ち、高い場所から再び壮観な光景が広がる仏ヶ浦を目に焼き付けて、次に目指すのは本州最北端の大間崎だ。

国道338号線(通称:海峡ライン)を北へ向けてひた走る。
この辺りの人口は非常に少ないので人や車の通行量は皆無に等しく、マイペースでバイクの走行を愉しめる道だ。大間崎に近づくにつれて晴れ間も出てきて、気分上々に本州最北端の地への到達を果たす。

8:40 巨大なマグロの石像がお出迎え、大間崎の地を踏む。
奥に見える真ん中に灯台の立つ場所は青森県最北の地で、無人島の「弁天島」という島。ちょうど晴れて来たので、津軽海峡の先にある函館の街も良く見えたのはラッキーだ。

大間崎では特に何か買った訳でも無く、少しばかり記念写真を撮影して後にした。
9:10 大間崎からバイクで10分ほどの「西吹付山展望台」に立ち寄り。ここは丘の上なので、爽やかな風が通り抜けて心地良い。夏真っ盛りのシーズンだが、ここまで北に来ると暑さは感じない。東京と比べて10℃近く気温が低いようだ。

下北半島の北海岸を走り、北東の突端に所在する尻屋崎を目指す。この時間になると天気は晴れに変わり、ほぼ無風で気温は23℃。これ以上無いバイク日和だ。
こんな日はなかなか無くて、東京からわざわざバイクを走らせてきた甲斐があった。そんな感慨に浸りながら、下北半島の快走路を往く。

10:50 森の中を抜けた後、唐突に現れる工業地帯と昼間のみ開放されるゲートを抜けて、下北半島北東端の尻屋崎に到着。駐車場横の売店・食堂が既にオープンしていたので、食堂に貼り付けられた沢山の馬の写真を見ながら、早めの昼食にありつく。

ここ尻屋崎の見どころといえば、「尻屋埼灯台」と「寒立馬」だろう。
尻屋埼灯台はレンガ造りの灯台としては日本一の高さを誇り、入場料(200円)を払えば登ることができる。 寒立馬(かんだちめ)は極寒にも耐えられる馬で、春~秋にかけて尻屋崎に放牧されている。
11:20 寒立馬の馬群と戯れる。ここの馬たちはおとなしいが、至る所に馬糞が落ちているから歩きながらのよそ見は厳禁だ。

お馬さん達は結構自由な感じで放牧されているので、奈良公園の鹿さん同様に至近距離まで接近することができる。接近すると躍動感がダイレクトに伝わって来るぞ。荒い息遣いや目の前でぶちまける馬糞…は迫力満点だ。

12:00 灯台をバックに記念撮影して、尻屋崎を後にする。
この旅は短く、明日には自宅へ戻る必要がある。短い期間ながらも、この時点で青森のバイク旅を満喫できたと思ったので、特に立ち寄り地は決めずにのんびりと移動を楽しみながら、自宅に向けて走っていくことにした。
長~い下北半島を縦断し、山岳道路を登ってまずは十和田湖までのロングラン。順調な道のりで、約170kmを4時間で走破した。

16:00 十和田湖南側の発荷峠展望台から、休憩がてら湖を一望する。
この後のルートと宿泊地は少しばかり考えた結果、午前3時まで営業している仙台市内のスーパー銭湯まで移動して風呂と睡眠を取ることにした。翌日は比較的交通量の少ない早朝を利用して、午前中のうちに自宅まで帰ってしまおうという節約強硬ルートだ。

・2014年8月13日(月) – 4日目

前日は正午に青森県の尻屋崎を出発し、十和田湖を経由して仙台市内まで合計450km、約8時間の大移動をやってしまった。
幸いにも走行中に睡魔に襲われることは無く、スーパー銭湯には予定通りの到着時間だった。無事に風呂に浸り、お盆で大混雑していた畳の休憩所でも疲労のお陰?で一瞬で爆睡であった。
2:55 閉店の直前にスーパー銭湯から退店し、東北自動車道 泉ICから夜明け前の高速道路に合流する。

走り出してから暫くは順調だったが、福島県内を走行中にバイクのライトが点滅しだして、やがて消えた。どうやらヘッドライトの玉切れのようだ。最寄りのパーキングエリアに立ち寄り、原始的な応急処置としてハイビーム用のヘッドライトの上半分をガムテープでとめたが、その頃には既に夜が明けていたのであった…
その後も延々と東北自動車道を南下する。
栃木県に入ってからの反対車線ではバイクがひっくり返って炎上していたり、お盆のラッシュで大渋滞していたりしたが、東京方面は交通量も少なくて順調だ。ここも午後になれば大渋滞が発生するのだろう。そう考えると、この深夜早朝の強硬移動もある意味正解だったのかも知れない。

今回は「ツーリングプラン」というNEXCO東日本が提供するバイク限定の高速道路定額プランに事前に申し込みしたため、通常料金と比較して5,000円程度高速料金が安くなったので、貧乏節約旅にはありがたい。
8:55 圏央道 日の出ICで一般道へ。ちょうど9時から営業しているイオンモールがあるので、ここで買い物をしてから自宅に戻り、2泊4日の短いようで長く充実したバイク旅が終わりを告げた。こうして無事に帰還したことが一番のお土産だと思いたい。

まずはバイクのヘッドライト交換をしなければならないが、これから秋に向けて次は何処へ行こうか、また計画するのも楽しみな、今日この頃でした…
≪完≫