【バイク×ソロキャンプ 北海道一周旅行】8日間・2,800kmの軌跡 – 4~5日目

2019年9月15日~22日。広大な北海道の大地をテント泊を繰り返しながら、8日間で一周した旅の記録。

・2019年9月18日(火) – 4日目

午前4時、普段の日常生活であれば絶対に起きることの無い時間ではあるが、旅の途中では何故かこの時間に起きてしまう。
寝静まったキャンプ場を歩き、昨日と同じ「夕陽台展望台」から今度は朝のウトロを眺める。漁師の朝は早く、何隻もの漁船が慌ただしく動いている。気温は昨晩から更に下がり、バイクの温度計は10℃を示している。冷えてきたので、またテント内に戻って、今日の旅の計画を立てる。

のんびりと朝飯の支度に取り掛かる。昨日の昼間に網走で買ったじゃがバターとスープを温めて朝食にした。
まだ午前7時であったが、準備ができたのでもう出発することにした。早い時間ではあったが、自転車で来ていた人達は更に早い時間にキャンプ場を後にしているようだ。

展望台からも見えていたウトロ市街地に佇む巨岩が気になったので、早速立ち寄ってみる。オロンコ岩と呼ばれていて、頂上まで登ることができるようだ。
最初から最後まで続く急な階段をひたすら上がる。僕が行ったことのある場所の中では、沖縄県にある伊江島の「城山」に似ている感じがした。

10分ほどで頂上に到着。雲が多いがまだ青空も広がっていて、知床の山々を真近で見ることができる。このオロンコ岩の隣には、通称:ゴジラ岩と呼ばれている見る角度によればゴジラのような形をしている巨大な岩も見ることができるが、ここからだと恐竜みたいに見えた。

ちょっとした登山で冷えた体も十分に温まった所で、いよいよ知床の秘境に向けてバイクを走らせる。国道334号線から知床半島の中を貫き、ダイナミックな風景が続く道道93号に入り、「知床五湖フィールドハウス」へ向かう。

午前7時30分から開いているので、この時間でもそこそこの観光客で賑わっている。知床五湖へ行くには、このフィールドハウスで入場料を払い、散策の手続きとレクチャーを受ける必要がある。30分毎にレクチャーが行われるようで、ちょうど8時30分からのレクチャーに参加して、世界自然遺産の中へ突入だ。
ちなみに、レクチャーの内容は知床散策のマナーなどであったが、ヒグマが出るとその日の散策路開放は中止になるそうで、この数日前にも朝から出没したらしく、もはやヒグマのことしか覚えていない。

同じレクチャーを受けていた数名はそそくさと先に行ってしまったので、初っ端から単独行動だ。木漏れ日と小鳥のさえずりが心地良いが、熊さんの存在に終始ビビりながら散策路を進んでいく。

写真で見るとほぼ同じに見えるが、四湖は五湖の数倍の面積がある。数日前はこの湖の向こう側に親子連れのヒグマが目撃されたらしく、ビビりながらもその姿を探してしまう自分がいた。

五湖から三湖までの散策路は割と平坦ですんなりと来れるが、三湖から一湖まではそれなりにアップダウンがあり、軽登山の感覚だ。この日は風も無く、水面には知床の山々が映りこんでいる。

一湖の湖畔まで歩くと、「高架木道」と呼ばれるヒグマを始めとした野生動物の侵入を避けるために高架になった散策路に出る。ここからは知床五湖フィールドハウスでのレクチャーを受けていない観光客も立ち入れるエリアのため、人の数が一気に増えて来る。ここまで来れば、熊さんとの遭遇の心配も無用だ。

この効果木道に入ってからが結構長かったが、約1時間30分で無事にフィールドハウスに帰還を果たした。約3キロほどの道のりだったようだが、自然を満喫しながら歩いたからか、あまり歩いたという実感は湧かない。

腹ごしらえにエゾシカ肉のハンバーガーである「鹿肉バーガー」とコーラを注文し、知床五湖を後にする。フィールドハウスの駐車場は満車になっていて、早朝から来たのは大正解だったようだ。
道道93号(知床公園線)はこの先も続いていて、知床の更に奥地にアタックする。アスファルト舗装は消えて砂利道に変わり、冒険心を高めてくれる道だ。

こんな道を約10キロほど走ると、車やバイクが沢山停まっているカムイワッカ湯の滝入り口の先でゲートが有り、ここから先は一般車両通行止めのようだ。
「カムイワッカ湯の滝」はその名の通り、温泉が湧き出ているカムイワッカ川にある滝である。途中まで登れそうなので、スリッパに履き替えて川を登る。

途中からは思い切り川の中を上がっていく、裸足で登っていく人が多かったが結構滑る様子だった。僕はゴム底のスリッパを装着したが、それでも時々滑ったので、要注意な危ない場所であることには間違いないだろう。

湧き出た源泉が混じり、この川の水そのものが全て温泉である。100メートルほど川を上がった所でロープが張ってあり、この先は立ち入り禁止になっていた。昔はもっと先まで行けたようだが、事故があったらしく、現在は常時ここまでしか行くことができないようだ。
川の温度は確かに暖かいが、かなりぬるめである。全身入るには温度的にも周囲の視線的にも厳しいだろうから、足湯ポイントを探して、そこで休憩した。

川に浸ったスリッパをバイクの後ろに括り付けて、カムイワッカ湯の滝を後にした。国道334号線に戻り知床峠を超えるが、峠に差し掛かった所で雨がポツポツと降り始めてきた。これから本降りになりそうな感じだったので、知床峠をスルーして、一気に羅臼側へ駆け抜ける。
知床半島反対側の玄関口である羅臼の街に出て、再び山側に登っていくと「羅臼国後展望塔」という展望台に辿り着く。その名の通り、ここから羅臼の街と国境の島である国後島を見ることができる。いつの日か、オフロードバイクであの島に行って、手つかずの自然の中を走りたい。そんな日が来ることを願いながら、国境の島を眺めた。

国道335号を約50km直進して、道道950号(野付風連公園線)に入り、最果ての地と呼ばれる野付半島(のつけはんとう)の付け根を目指す。何も無い、誰もいない道を延々と走る。

途中にある「野付半島ネイチャーセンター」で、海を眺めながらこの辺りの名物グルメらしい「ホタテバーガー」を食す。さすがは北海道、セットで出てきた牛乳が500ml以上はありそうなビッグサイズだ。

ネイチャーセンターから更に南へ道道は続いているので、突端まで行ってみた。僕はここを5年前の「東日本一周の旅」で訪れているが、その時と変わらない古びた道道の標識は健在だった。
徒歩や観光用の「はまなす号」というトラクターにけん引されたバスのような乗り物に乗れば、野付半島の更に突端まで行けるようだが、バイクだとこれ以上先には進めないので、そそくさと引き返す。

道中、「ナラワラ」と言われる海水に浸食されて枯れたトドマツが立ち並ぶポイントでバイクを停めた。枯れた松と薄暗い曇天がより強く最果て感を醸し出している場所だ。浸食は徐々に進行しているようだが、僕が見た限りでは、5年前と変わらない風景が広がっていた。
野付半島を後にし、国道244号線を南下する。その途中で道の駅「おだいとう」に立ち寄り、高台にある展望台から野付湾を眺める。

無料の望遠鏡があったので、北方領土の方を覗いて見ると、何やら色々と建設中だ。夕陽と共に更に40キロほど南へ走り、今日のキャンプ地である「築拓キャンプ場」に到着。
翌日は日の出と共に最東端の地である納沙布岬へアタックし、またキャンプ場に戻る計画であるため、それを可能にしてくれる位置にある唯一のキャンプ場がここであった。隣接する「伊藤牧場」で受付を済まし、牧場の中にある小さな森のサイトにテントを設営した。

沈んでいく太陽をバックに、お馬さんや羊さん達が駆けまわる。そして、テントサイトからトイレに行くまでの道中に、「まめ」という犬が暮らしている。人が近づいても動じない、大人しくてかわいいキャンプ場の主だ。そんなのどかな場所の中でキャンプができる幸せを感じながら、夕食の準備に取り掛かる。

バイクで5分の場所にあったセ〇コーマートで買ったものと、前日に網走で買ったものの残りで今日の夕食にして、割とゆるめだった一日が終了。
明日は早朝に最東端アタックをしてから西へ向かい、帯広まで大移動の計画だ。

【4日目軌跡】
出発地:斜里町ウトロ香川 国設知床野営場 (7:10出発)
経由地:知床五湖、野付半島
到着地:根室市明郷101 築拓キャンプ場 (16:40到着)
天候:曇、最低10℃/最高18℃
走行距離:220km
費用:5,844円(宿泊費1,500、ガソリン代2,427、駐車場代(知床五湖フィールドハウス)200、食費1,717)

・2019年9月19日(水) – 5日目

昨日は元気だったまめちゃんも、朝は寒いのか小屋の中で丸まっている。夜中に雨が降ったらしく、地面は濡れているが、東の空が少しづつ明るくなっていくのを見ながら最東端の地、納沙布岬へ出発だ。

午前6時、ほとんど人や車の通らない根室の市街地を抜け、最果ての原野の中を貫く道道35号(根室半島線)を走る。テントを張ったキャンプ場から納沙布岬までは約60キロの距離があるが、住所はどちらも同じ「根室市」であることが広大な北海道らしい。
案内看板に誘われて道道から砂利道に入り、「ノッカマップ灯台」へ寄り道。原野の中にポツンと立つしましま模様が印象的な灯台だ。しましま模様なのは厳冬期でも見えやすくするためで、日本では北海道、東北地方でよく見られる配色のようだ。

誰もいない最果ての開放感溢れる道は、走っていて思わずアクセルを開けてしまう。朝日をたっぷりに浴びて、これまた誰もいない納沙布岬に到達。これで、2つ目のチェックポイントをクリアといったところだ。

バイクのエンジンを切ると、静寂と微かな波の音だけが聞こえる。
僕にとって納沙布岬を訪れるのは、野付半島と同じく5年前の2014年に行った「東日本一周の旅」以来だ。その旅では北海道を反時計回りに周ったため、この旅では逆方向に同じ場所を再訪していくことになる。5年という月日が流れて、僕の生活環境は学生から社会人、住む場所も関西から関東と大きく変わったが、この場所は何一つ変わっていない印象を受けた。そんな学生時代の旅を思い出しながら北方領土を眺め、納沙布岬周辺を歩いた。

納沙布岬周辺で一際目立つのがこの「オーロラタワー」。高さ96mを誇る巨大な展望台で、今日みたいな澄んだ晴天の日にてっぺんに上がれば、さぞ素晴らしい絶景が見れるのだろうが、残念ながら営業時間は午前9時からのようだ。のんびり観光しつつも、8日間で北海道一周完走に向けて先を急ぐ旅、あと2時間以上は待てないので諦めてキャンプ場に引き返すことにした。
根室市街地の道路はやたらと道幅が広く、走ってる車も古い乗用車や商用バンが多くて、まるでロシア(動画サイトで見たことはあるけれど、行ったことは無い…)の道路を走っているように感じた。

平日の朝、働く男たちが行き交う根室市郊外の花咲漁港の手前で左折して、「根室十景」と呼ばれる景勝地の一つである「花咲灯台と車石」を訪れる。眼下の花咲漁港と約10キロ先には無人島の「ユルリ島」と「モユルリ島」を遠望する。
ユルリ島にはその昔、人が馬と共に暮らしていたが、やがて人だけが立ち去った後、飼われていた馬達は残されて野生馬となり、今もこの島で過ごしているそうだ。ゆるそうな名前の島ではあるが、風が強い日が多く、厳冬期には冷凍庫以下の寒さになる日も多いこの根室の地に浮かぶ島、ゆるいとは到底言えないだろう。

赤白のかわいい小さな家のような建物が「花咲灯台」、灯台から海側に少し下った所にあるのが車の車輪の形に見えることからその名が付いた岩「車石」だ。
こうして今日も早朝から絶景を堪能したところで、テントを張りっぱなしなのでキャンプ場へ戻りたい。この天気なのでテントと寝袋もちょうどいい感じに干されているだろう。

帰り道の国道44号は交通量が多くなっていて行きよりも時間が掛かったが、早朝から最東端の旅は約4時間で終了。バイクの距離計を見ると、今日は既に130キロも走っていた。
同じキャンプ場も、青空の下では何だか違う景色に見えてくる。朝は縮こまっていたまめちゃんも、今は日差しが暑いのか、全身をしっかり小屋の陰に潜めている。

テントサイトの横には「あっとこ家畜動物園」と書いた場所がある。牧場で飼われている動物達を真近で見れるようになっているので、ゲートを開けて入ってみた。ゲートの中は完全に動物達の生活エリアで、その中に人間がお邪魔しているような感じだ。誰もいないので一人でも気兼ねなく動物と触れ合える貴重な場所かも知れない。

近づき過ぎると逃げてしまうが、ここの動物達はみんな大人しくて、何だかとっても癒される。地図や旅行ガイドにも乗っていないマイナーなキャンプ場であったが、次に北海道に来た時にも是非訪れたい。そう思える場所であった。

エサが欲しいのか、小屋から出てきてお皿の方を見つめるまめちゃんに別れを告げ、再び荷物満載になったバイクに跨ってキャンプ場を後にした。
道道988号で太平洋沿いに抜けて、清々しく青い空と海の下、道道142号(通称:北太平洋シーサイドライン)を西へ走る。

浜中町に入り、景勝地である霧多布岬方面へ走る。その名の通り霧が多く発生することで有名な岬であるが、今日の天気なら濃霧の心配も無用だろう。5年前の旅では、ここ霧多布岬のキャンプ場でテントを張り、一夜を明かしたのを覚えている。

そして、5年前に行こうと思ったものの、入り口が分からなくて断念した砂浜を走れる道路「渚のドライブウェー」への侵入を試みる。今回はネットで散々行き方を調べたのでバッチリと思ったが、それでも一度入り口を通り過ぎ、引き返してようやく侵入に成功を果たした。中々難易度の高い場所である。

波打ち際をバイクで走ると、カモメ達が一斉に大空へ羽ばたいていく印象的な光景が心に残る。砂はしまっていて僕のバイクでゆっくり走る分には問題無かったが、30km/hまでスピードを上げるとハンドルがグラついてくるので、強制的に徐行運転を強いられる道路だった。
同じく砂浜を走れる道路として、僕は石川県の「千里浜なぎさドライブウェイ」をバイクで走ったことがあるが、こちらは有名な観光道路なだけあって整備されているのか、50~60km/hでも安定して走ることができた。そう考えると、「渚のドライブウェー」はバイクで気軽に走れるとは言い難いかも知れない。

この辺りには「霧多布湿原」という日本屈指の広大な湿地帯が広がっていて、道道808号(通称:MGロード)はこの湿地帯のど真ん中を一直線に貫いている。この「MGロード」をそのまま真っ直ぐ走れば国道44号に出れるのだが、交通量が多そうなので、太平洋沿いの道道123号に戻って隣の厚岸町まではこの道で行くことにした。
高台にある道道沿いの「琵琶瀬展望台」でバイクを停めて、さっき走って来た霧多布湿原の風景を見る。隣にレストランが営業していたので、ここで遅めの昼飯にホタテフライ定食を食した。

北海道に着いてから今日まで4日連続のテント泊であったが、今日は帯広に住む友人宅で1泊させて貰うことになっている。ここ厚岸町から友人宅までは約170kmあるので、自動車専用道路を使って一気に十勝地方まで移動を開始する。
釧路市街地手前の「釧路別保IC」から2019年現在、部分的に開通している「釧路外環状道路」に入って釧路の市街地をパス。こういう市街地を通過できる道路は旅でも役に立つ。しかも無料なのでありがたい道路だ。

部分開通の自動車専用道路なので一旦降りて国道242号を走るが、たんちょう釧路空港の先にある阿寒ICから、千歳まで続く道東自動車道で深い山中を抜ける。前を走っていた車は道東道に入った途端、かなりスピードを上げて消えて行ってしまった。殆どが片側1車線の対面通行の道路のため、前後が車で詰まった時に逃げ場が無くて危険な道だと思っているが、運よく前後に車がいない状態で快適に進むことができた。

約50キロ先の本別ICで道東道を降りる。ここから先は有料になるから、通行料をケチるためだ。北の方向に迂回して、国道242号→道道134号線を走って、十勝平野に抜けた。その途中で道の駅に併設されている温泉「しほろ温泉 プラザ緑風」に入り、束の間の休息。

十勝平野に入ると西からの強風が吹き荒れ、長い直線道路をバイクを傾けながら進む。日没の直前、撮影スポットとして有名な十勝牧場の並木道を走った。
9月だとまだ白樺の木は葉を残していたが、これから間も無く長い冬が訪れて、白銀の世界の中に続く白樺並木の風景も良さそうだ。

この後は無事に友人宅に到着。、久々にテント泊から開放され、快適な屋内で旨い飯を食いながら更けていく夜も良いものだと実感する。この旅も折り返し地点を過ぎた。明日以降の天気も良さそうなので、この調子でバンバン走りまくって行きたい。

【4日目軌跡】
出発地:根室市明郷101 築拓キャンプ場 (5:05出発(1回目)、10;40出発(2回目))
経由地:納沙布岬、霧多布岬
到着地:帯広近郊 (18:15到着)
天候:曇、最低13℃/最高20℃
走行距離:413km
費用:3,993円(ガソリン代2,243、食費1,250、温泉500)

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